千年の恋
「これは…。」
階段を降りきると、その部屋は入った瞬間から血生臭さで充満していた。
そしてその先には、歳は私や瞭然と同じくらいの、腕や足、胴体を、壁に打ち付けられた金属で固定された血塗れの女性がいた…。
その女性の体は胸の部分が開いており、『ドクン…ドクン…』と心臓が鼓動しているのが見えた…。
「なんて酷い…。」
私は余りにも酷い光景に絶句した。
「い…行きているの…?」
その光景にリリーの声も震えていた。
「彼女を助けよう。」
ジェラルドが瞭然を床に置いた直後、瞭然が見を覚ました。
そしてその光景を見た瞬間、瞭然の目がカッと見開いたと思った瞬間目には見えない速さで起き上がり、女性の方へ飛びかかっていた。
「ーーーーーーッうぉおおおおお!!!」
瞭然の雄叫びが部屋中に響き渡ったその声は私達の鼓膜をも引き破りそうだった。
しかし瞭然の体は彼女に触れる事すら出来ず無残にも跳ね返されてしまった。
「おう…すい…。」
瞭然が泣き崩れながら何かを呟いた。
「彼女が君の探していた桜水なんだな?」
「あぁ。」
もしかして…この女性が瞭然の探していた恋人で…瞭然と同じ千年もの間拘束されている人…だとしたらなんて酷い仕打ちを…彼女が何をしたのだと言うのだろうか…。
「騒がしいと思ったら…困るのぉ。」
後ろからいきなり声がして振り返ると、深くフードを被った男性がいた。
「あんた誰?」
リリーが身構えながら問いかけた。
「大きな音がしたと報告があったから龍を捕まえれると思って来てみたら…仲間がおったとはなぁ。それに思ったより回復も早いようじゃのう。」
「龍…?あんた何の話をしてんのさ。」
唯一この中でリリーだけが瞭然の龍の事を知らない…。
「何を惚けた事を…。この部屋の結界が反応するのは龍だけじゃ。そしてこの部屋へ用がある部外者も龍だけじゃろうに…。」
「ちょっと!さっかから何の話かわかんないって。」
「お嬢さん…何処かで見た顔よのぉ…。」
フードで隠した顔が少し不敵な笑みを浮かべたように見えた。
あの顔は………!!!
「あんた…魔法ショップの…!!」
「さてと、男とは聞いておるが、女装しとるかもわからんしのぉ。この中の誰が龍かのぉ…。いやいや待て待て、誰でも良いわい、これを見られたからには、どうせ全員捕まえるんじゃからのぉ。」
その瞬間後ろから何人もの魔術師らしき人が何処からともなく現れた。
まずい…。
「俺らの魔法程度じゃ抵抗しても無駄だ、此処は大人しく捕まろう、幸いにも殺すとは奴は言っていない。」
「それはそれは、賢明な判断じゃのぉ。」
ジェラルドがそっと私に耳打ちをしてきた。
「どうやら壁の文字が龍の力を封じ込める結界らしい。燈ちゃんの魔法は龍の石だよね、此処で魔法は使える?」
そうか…思い出した。あれは瞭然が閉じ込められていた小屋に書かれていたものと同じものだ…。
でも今更思い出しても後の祭りだ…。
「わからない…けど試してみる。」
私は階段に落ちていた石ころを誰にも気付かれないように動かしてみた…。
出来た…あの結界は私の魔法には効かない。
「なるほど…それじゃあ脱出する時使えるかも知れないから期待してるよ。」
ジェラルドがそう言ったあと、私達は一人一人腕の拘束と目隠しをされ、何処かへと連れて行かれた。




