千年の恋
ジェラルドの行きつけの宿は見た感じは古風だったが、中々によかった。
窓から気持ちのいい朝日が差し込んでいる。
久しぶりにぐっすりと眠ってしまったようだ。
なんだか身体が軽く感じる。
「おぅ、起きたか?中々良い場所だろう。」
「あぁ、千年分の疲れが取れたみたいだ。」
「冗談も言えるくらいにはなったみたいで何よりだ、で、これからどうする?昨日は何か手掛かりはあったのか?」
「それについてはレイフェレリーが良くこの村へ出入りしているらしいんだ。俺は桜水と何か関係があると思っている、何処へ行っているのか詳しく調べたい。」
「なるほどね、それじゃあもう少しこの村を探索してみますか。俺もあまりこの村の事に詳しいわけじゃないんだがね。とりあえず朝飯を食ってから考えようや、近くに丁度いい店があるぞ。」
俺達はそのまま宿の近くにある少し人気の少ない路地裏にある定食屋へと足を運んだ。
「で、レイフェレリーは何しに此処へ来るのかも、何処へ行っているのかいつ此処へ来るのかもわからないと。
それに知ってる奴に聞いたって素直に教えてくれるとも思わねぇしな…。」
「あぁ、だから俺はレイフェレリーが此処へ来るまで待って、後を付けるのがいいかとも思ったんだが…。」
「あんだけの有名人だ、変装もせずに大手を振って入ってくるとは思えねぇよな。」
「あぁ…そうなんだよな…やはり地道に聴き込みを続けた方がいいのかもしれないな。」
「それなら今日は路地裏から聴き込みするか?この通りなら変な店も多いし、何より変人も多い。もしかしたら話してくれる奴もいるかもな。」
変人か…常識のある人間よりは口を滑らす可能性も高いしアリかもしれないな。
ジェラルドの提案通りひとまずこの通りからあたってみるか。
「さてと、おばちゃんご馳走さま。」
「またいつでも来ておくれよ。」
朝食をすませた後、俺達は裏通りの店を片っ端から聴き込みを開始した。
10件近くは聞き回っただろうか…
「誰も答えてくれねぇなぁ。」
少し疲れたジェラルドから弱音が出た。
「そうだな、教える気は無いのか…本当に知らないのかもわからないしな。」
道なりに歩いているとある店の前にキラキラと輝く光を見つけた。
あれは…インセンス…?俺はゆっくりとその光へ近付いた。
その光は御主人様をじっと待っているのだろう、全く微動打にしない。一体誰の残り香で、どんな御主人を待っているんだか…。
にしてもこの店…魔法ショップ-アレギラ-か…やけに古い道具を取り扱っているらしい…まぁ俺には関係ないか…
俺はその場を離れようとした。
『待て…この魔力からは燈の気配を感じる…』
(燈の魔力…?と言う事は燈は此処へ来たのか?…。)
『いや…此処へは来ていない…。』
(じゃあ何故残り香は此処まで来て燈を待っているんだ?)
『残り香が此処にあるのは、本来ならその近くまで燈が来たと言う事…しかし燈は此処へは来ていない…。燈の魔法は不完全なのかもしれないな…』
(そうか…それじゃあこれは誰の残り香なんだ?)
『其処まではわからん…。』
(何故だ?奴の体内に監視魔法を仕込んだだろうが。)
『それが今気付いたのだが、少しずつ魔法の効果が薄れてきているようだ…徐々に燈の監視が出来にくくなっている…』
(俺の魔法が何かに負けているだと…)
『その原因も調べる必要がありそうだな…。』
そうだな…だがこの魔力が燈のならばレイフェレリーの残り香の可能性もあるかもしれないな…ひとまず燈と合流してインセンスについて聞いてみるか。
『今の居場所はわからんが、今朝までは噴水広場へ居たぞ…。』
噴水広場か…とりあえずそこへ行ってから燈を探すとするか。近付けば監視魔法も元に戻るだろう…。
俺はジェラルドに説明し、ジェラルドど共に再び魔道街へ戻る事にした。




