千年の恋
「こんばんは、ジェラルドです。」
「あぁ、ジェラルドかい、おやおや?今日はお連れさんと一緒かい?珍しいね」
中に入ると白髭の似合う気さくそうなダンディなおじさんがいた。
みたところ、ここは少し洒落た酒場みたいなものだろう…。数人の客がちらほらいる。
「初めまして、瞭然と言います。」
「俺はマンブーだ、よろしくな。」
ジェラルドは良い豆が作れたらしくマンブーと何やら会話を始めた。
俺はその間中を見渡して、情報でも集める事にした。
今いる客はだいぶ酔っ払っているおじさん、しっとりとした雰囲気のカップル、凛々しく飲んでいる紳士、あとは兵隊の格好をした兵士だな。
俺はこの中で話を唯一聴けそうな紳士の隣へと向かった。
「すみません、いきなりなんですか少しお話を聞きたいのですが良いでしょうか?」
「あぁ、別に構いませんよ。」
「この村に龍が居ると言う噂を耳にしたんですけど、本当なんですかね?」
「昔話にはその様な話がありますが、所詮は只の昔話ですな。」
「昔話…?」
「ええ、こんな小さな村なのに龍を見た事がある者は誰一人として居ませんからね、居たとしても随分と前の話なのでしょう。」
「そうですか、ありがとうございました。」
(おい零神、本当にここに壱乃神の気配を感じるんだよな?)
『ああ…間違いない…。この村の何処かに必ず居る…。』
仕方がない。もう1人兵士っぽい奴の話も聞いてみるか…。
「すみません。少しお話を伺ってもいいですか?」
「ああ?なんだぁ?俺にぃ話ぃ?」
思ったよりだいぶ酔っているみたいだな。
「この村に龍がいるって話なんだけど…」
「龍…?見たことねぇなぁ…ほんとにいるのかぁ?」
こいつは駄目だな…早く切り上げるか…
「そうですか、それでは…」
「龍は見たことねぇがよぉ、俺は門番してんだけんどよぉレイフェレリーってんのぉ?あいつはよぉ…よく見るぜぇ…」
レイフェレリーがこの村へよく来る…。
「レイフェレリーはこの村の何処へ良く行くんです?」
「そりゃぁ…おめぇ俺らに教える訳ぇねぇじゃねぇか、村長と話しながらぁ…ふらっと、どっかぁ行ってるよぉ、炎でも浴びに来てんじゃあねぇのぉ?」
レイフェレリーの行く場所に壱乃神が居る可能性が高いな…次レイフェレリーが此処へ来るのを待つか…?
「瞭然、話は終わったか?そろそろ出るぞ。」
自分の用事が済んだジェラルドが話しかけてきた。
「ああ、わかった。…ありがとうな兵士のおっさん」
「また何でもぉ聞いてくれぇよ。」
兵士のおっさんと話を終わらすと俺達は外へと出た。
「夜中に帰るのは疲れるから俺の行きつけの宿に行こうぜ、宿代は出すからさ。」
「俺はこのまま帰っても良いんだが、そう言うならあんたに合わせる事にするよ。」
ジェラルドの希望で俺達は火の村で一晩過ごす事にした。




