扉
私の名前は神乃 燈どこにでもいるような普通の女子高生だ。この町、神龍守では神や龍を使った名字が多い。
大昔に龍がいた名残だとかなんとか、そのお陰で今世界中に龍の石を使った龍術と言う便利なものが使われている。
龍術は願った事はある程度出来るらしい…、らしいって言うのは普通の人、私みたいな一般人には使えないからで噂しか聞いたことがない。
主に政府の人が私たちを守るために使ってくれている。
で、何でこんなとこを思っているのかと言うと、今私の目の前におそらくその龍の石と言うのが落ちているからである。
純白に輝く石が、今目の前に落ちている。
さてと、私はこの非常に珍しい石に触れてもいいのだろうか、もしも龍の石ならば警察や政府に連絡をしなければならない一般人が使うことは法律で禁止されている、もしも使えば何かしらの罰則があるらしいのだけれど、その罰則が何かは多分殆どの人が知らない、噂で少し耳にするくらい、しかしまずこの石が龍の石かわからないし、龍の石だとすれば少しはやっぱり触ってみたい。いや…使う訳じゃなくたださわるだけ…
「燈?こんなとこで何してるの?」
あぁ…彼は私の幼なじみで恋人の龍池 天あだ名はテンテン
「何って、この石を見てた。」
「石?」
テンテンは不思議そうにしゃがんで白く光る石を見つめている。
「これ、龍の石かな?テンテン触ったらってあー!」
触ったら駄目と言いかけた時テンテンは石を既に触ってしまっていた。
「テンテン駄目じゃん!なにしてんのよ!」
「…これ多分龍の石じゃ無いよ、燈の服の中が見たいって願っても何もならない。」
私はテンテンの頭をひっぱたいた。
「何勝手に願い事してるのよ。本物だったらどうする気だったの?」
「ほらよっ。」
テンテンが私に石を投げてきたのでとっさに受け取った。
テンテンのズボンがいきなり破けますようにーーー。我ながらくだらない願いだ。
「何もならないね。」
「だろ?で、何を願ったんだ?」
「教えないよ」
「けちだなー」
「そんな珍しい石が落ちてるわけないよね。」
そう言いながら私はその石をポケットに入れた。
「もって帰るのかよ。」
「綺麗な石だし、飾ったらそれなりになりそうだもん」
「変な趣味だな。ってそんな事より今日は俺んちで遊ぶ約束だろ、行くぞ。」
そう、今日はテンテンの家でお家デート…と言えば聞こえが良いが、テンテンは頭が悪いから勉強会だ。
私達はテンテンの家へと向かった。
「お邪魔します。」
「あら、燈ちゃん、今日はお勉強するんですってゆっくりしててね~。」
テンテンのお母さんと適当な挨拶を済ませテンテンの部屋へ行く。
「さてと、それじゃ勉強でもやりますか。」
珍しくやけにやる気満々なテンテンだ。
「………。」
「…………。」
「……。」
「っあぁーーー!疲れた!燈、休憩しよ休憩。」
「休憩って、まだ10分しかたってないよ。」
「そんなの何分だろうといいんだよ俺が疲れたんだから気分転換しないとな。」
「気分転換って、10分じゃ気分転換もなにも転換しまくってるし」
「うるせぇうるせぇ、俺達は恋人だろ?」
「そうだけど、」
「じゃあやることは決まってるな!」
いつものように変態テンテンは私の方へ近付いてくる
「ちょっと待ってよせめてキリの良いところまで…」
私は迫ってくるテンテンを片手で押し退けようとした。
「勉強にキリの良いとこも糞もねぇっ…て、なっなんだっ…」
私は自分の目を疑った。
そこには宙に浮いているテンテンがいた。
「えっ?えっ?えっ?テンテンどおしたの?」
「知らねぇよ。いきなりって、うわあああ!」
しばらく浮いた後、重たい音と共にテンテンは床に落ちた。
「いってぇー。どうなってんだって…燈…お前その足…」
驚いたようにテンテンは私の足を指差した。
その先には白く光る私の左足があった。