魔法と龍
千年前の人か…瞭然と同じだ。
でもさっきのあの人は魔法で再現してるのだろうか…
そんな事を考えてぼーっとしているとリリーが戻ってきた。
「よっ、あたしの演技どうだった?なかなかのもんでしょ?」
「うん、とても凄かったよ。」
「あかり、そう言えばあんた今晩泊まるとこあんの?」
あ…瞭然に泊まるところを探すように頼まれていたことをすっかり忘れてしまっていた。
「良かったらうちに泊まっていきなよ。」
凄く有難いのだが、私にはこの状況でもう一人泊めて欲しいなんて言い出せるものじゃなかった。
「それは凄く有難いんだけど…」
「遠慮なんていらないよ、手伝ってくれたお礼。それにあんたとはいろいろ話がしたい。
そうと、決まればさっ、行くよ。」
「えっ?あっ、ちょっとまっ…」
リリーは私の話なんか聞こうともせず、私の腕を引っ張って歩きだした。
さっきといい、本当に強引な女の子だ。
「ついたよ、ちょっとそこら辺に座ってて。」
到着したのは、お世辞にも綺麗とは言えない少し古びたアパートだった。
「はいこれ、ゆっくりくつろいでって。」
リリーはコーヒーを用意してくれた。
「ありがとう。」
「あんたレイフェレリー様の事初めて見たんでしょ?」
「うん。人を造り出すなんて凄いね。あれは難しい魔法なの?」
「あかり、あんた何寝ぼけた事言ってんのさ、あれは魔法で出してるんじゃ無くて、レイフェレリー様本人だよ。」
「え?でもそのレイフェレリー様って千年も前の人なんじゃ…?」
「そうだよ。千年以上も生き続けてるんだ。噂では龍を殺してしまった呪いだとかなんだとか、死ぬことが許され無い呪いだよ。
あたし達の人生には終わりがある。終わりがあるからそこ今を必死に生きれるんだ。終わりの無い人生は相当絶望的らしい。
それでもレイフェレリー様はそんな姿を見せずいつでも希望を見せてくれる。
あたし達の為に闘ったのに、呪いをかけられるなんて本当になんて言うか…レイフェレリー様はあたし達の為に全てを背負ってくれてるんだ」
「そう…なんだね。」
私の頭の中では何が真実で何が嘘なのか、わからなくなってしまっていた。
「ところでさ、あかり、あんたの名前はフルネームで何て言うの?」
「神乃…神乃燈だよ」
「やっぱり…」
やっぱり…?
「あんた神龍守から来たんでしょ?」
「え…どうして?」
「その名前だよ。神や龍を使ってる名前なんて、神龍守の人間しかいない。」
「なんか…ごめんね」
この街の人はきっと龍の事が憎い…そう思うと、自然と謝罪の言葉が口から出ていた。
「何で謝るのさ、あんたのせいじゃない。それに、」
「それに…?」
「いや、なんでもない。そんなことよりあたし以外の前でその名前言わない方がいいよ。」
「うん。わかった。ありがとう。」
リリーがなぜ私にここまで優しくしてくれるのかわからなかった。




