魔法と龍
わいわいガヤガヤ、まさにそんな言葉がぴったりの街、ここ魔動街へ私達は無事に入ることが出来た。
「いいか燈、ここでは当たり前だが、人を傷付けること、人の物を奪うこと、お金を増やすこと、の他にも空を飛ぶこと等の魔法は禁止されている。それ以外は街の秩序を乱さない程度なら自由に使っていい。」
「詳しいんだね。」
「昔の記憶を思い出してるだけさ」
「この街にはこの街なりのルールがあるんだね」
「ここからはしばらく別行動をとろう。俺は壱乃神の居場所を探る。あんたはどこか泊まれそうな場所を見つけてくれ。」
「ちょっとまってよ、どうやって合流するの?」
「会う必要があるのなら再び会えるさ、あんたの彼氏も例外じゃない。それに俺はお前くらいすぐに見つけ出せる。」
そう言うと、人混みの中へ瞭然は姿を消した。
宿を探すって言ったって…お金も無いのにどうやって泊まれる場合を探すのよ。私に働いてお金を貯めろってこと?
それにしても、本当に人が多い…、ぼーと人混みを見つめてたら、ドンと肩に人がぶつかった。
「ちょっとー!こんなど真ん中でぼーと突っ立ってたら邪魔じゃない。」
ショートカットの女の子がふて腐れて立っていた。両手には中身の一杯入った段ボール箱を抱えていて、何かを落としてしまったみたいだ。
「ごめんなさい。」
私は慌てて彼女が落とした物を拾った。
龍の顔をしたお面だった。
「これって龍?」
「そうだよ当たり前じゃん。何あんた知らないの?それにほとんどの人はみんな今は忙しいはずなんだけど、こんなとこでぼーとしてるって事は、もしかしてあんた暇なの?」
私はコクりと頷いた。
それから数分後ー
私はとある広場の舞台裏にいた。
と言うか、無理やり彼女に連れてこられたのだった。
「まさかねー、あんたこの街の人じゃないとは思わなかったったよー、超ラッキー。お金も無くて困ってるんでしょ?何?家出でもしたの?」
「まぁ…そんなとこかな。」
「へぇ…で、どっちの方の街からきたの?北?南?まさか山の裏なんて、言わないよねー?」
「ははは…まさか…」
とても神龍守から来たとは言っては行けない雰囲気な事は、鈍感な私でも察しがついた。
「まぁ、言いたく無いなら別に良いよ、そんなにあんたに興味無いし、で私の名前はリリー、あんたは?」
「私の名前は、燈」
「ふーん、あかり、ねぇ…」
「リリー、なんでえ?またサボっとるんか?」
奥から大きな体をしたおじさんと言うのがふさわしいような男の人が出てきた。
「ああゴルディー、失礼な、手伝ってくれる人を見つけてきたのに。」
私はまだ一言も手伝うなんて言った覚えは無いのだけれど、その手伝ってくれる人と言うのはおそらく私の事なんだろう。
「ほんまか!こんな時によお見つけてこれたのお。わしはゴルディーちゅうんやよろしくな。お嬢ちゃんの名前は?」
「燈です。よろしくお願いします。」
私の2倍はあろう手で決して優しくはない握手をした。
「じゃあさっそくそっちの飾り付けお願い。あと三時間くらいで始まるのに全然進んで無いんだよねー。」
リリーは段ボールいっぱいに入った色とりどりの飾りを私に渡した。
「センスはあんたに任せる。出来るだけ華やかに、美しくね。んじゃ頼んだよー」
そう言うとリリーはいそいそと違う場所へ向かった。
仕方ないか、私は言われた通りに飾り付けを始めた。




