まるで結婚式のようです。
ついに王家主催のパーティーの日になった。ユリアは真っ白なドレスを着ていた。まさにウエディングドレスのようなドレスだ。なぜこのドレスになったのかはわからないが、ユリアも気に入っているからいいのだろう。
対してオスカーはビシッとしたタキシードであった。そしてまさかの白。かぶった…。
「オスカー……。かっこいいね……。」
「あはは。ありがとう。ユリアもとっても綺麗だ。」
などと褒め合っていたら天使の降臨が始まった。身分の低い者からおりていくのが常識だ。身分は男性の方に合わせる。なので私はほんとに最後の方。まだかなーまだかなーと思いながら待っていると、アベルの番になっていた。もうアベルってことは私はもうちょっとね!楽しみだわ!と思っていたユリアだが、あることに気づく。
あら?アベルのパートナー、アベルの妹じゃないわ。あの方はだれ?
それはユリアにはわからなかった。なにせ、初めて見るのだ。名前などわかるはずがない。それよりも、アベル、私に嘘ついたのかしら?この私に?と黒い笑みを浮かべるユリアの怖さの方が印象的だ……。その黒い笑みは嘘をついて他の女と天使の降臨をしていることに対してではなく、自分に対して嘘をついたことに怒っているようだった。と、いろいろ話していたらユリアとオスカーの番になった。
「ユリア、行こうか。」
えぇ、と返事をしてユリアとオスカーは大階段をゆっくりと歩きだした。その姿はまるで結婚式を挙げている新郎新婦のようである。最後の方になり、少しざわついていた会場も静かになり、頬を赤く染めながらほのかに微笑むユリアと、そんなユリアを微笑んで見守るオスカーに釘づけだった。そしてユリアたちが天使の降臨を終えるとまたざわつきだした。なぜなら、ユリアの婚約者はあくまでアベルであり、オスカーではないからだ。しかも、そのアベルまでも知らない女と歩いている。普段でも公爵家である3人はみなの注目の的なのだ。それが婚約者が婚約者と天使の降臨をしなかった。これだけ衝撃的なことはきっとこれまでなかっただろう。
それぞれの公爵家も衝撃をうけた。アベルのルキアス公爵家は、なぜユリアとパートナーじゃない!その女は誰だ!と。オスカーのエイベル公爵家では、なぜユリアとパートナーに!?聞いてないぞ!と。そしてユリアの王家では、アベルはどうした!なぜオスカーが!と。