リーロッサ王国の王女ユリアです。
あら、ごきげんよう。わたくしはこのリーロッサ王国の誇り高き王女、ユリア・メリデ・リーロッサですわ。王立のリーロッサ学園に通っておりますが、王女ということは秘密にしてありますの。なぜか?わたくしがそうしてほしいと頼んだからですわよ?あ、もちろん名字は変えておりますわよ?そのままですとすぐにバレてしまいますもの。うふふ。
と、まぁ、こんな喋り方してるけど至って普通の女の子よ。王女であることには間違いないけれど。私は堅苦しいのが嫌いなのよ。だから、執事や侍女、女官たちには気軽に接してと言っているわ。例えば王女様ではなく、名前で呼ぶことなどね。あとは、気軽に話しかけてちょうだい、と言っているのにあまり話しかけてくれないことが少し寂しいわね。私のストレス発散法はたくさんお喋りをすることだけなのに。
あまり人と話せないことでストレスが溜まっていたのか、ユリアは大きなため息をついた。
「ユリア様!そろそろ学園にむかわないと遅刻しますよ!」
今の声はユリアと一番仲の良い侍女、ルナ・リーンズである。普通なら王女にむかってなんたる態度!と罰せられるところだが、当の本人が全く気にしていないのである。逆に嬉しそうにしているのであってはユリアの父であり、リーロッサ王国の王、シャルル・ラフィウル・リーロッサも罰することを渋るのである。
「あらルナ。おはよう。遅刻?きっとどうにかなるでしょ。」
そう言ってユリアは部屋を出た。
学園に着き、馬車を降りるといつものように貴族令嬢たちがユリアの周りに集まってきた。
「ユリア様!今日もご機嫌麗しゅう。」
「ユリア様!今日も変わらずお綺麗でいらっしゃいますわ!」
「ちょっと!何を言ってるの!ユリア様は昨日よりもお綺麗になっていらっしゃいますわ!」
あちらこちらでいろいろなことを言う令嬢たちの扱いはもう慣れたと言わんばかりに微笑みながら
「ありがとう。もう時間ですので。」
そう言ってユリアは侍女ルナをつれてその場を去った。この学園では侯爵家以上の者は侍女を一人つれていけることになっている。
あぁ、もう、なんで毎日毎日こうもいろいろ言われるのかしら?
ユリアはずっと疑問に思っているが、それはユリアが気高く美しくそれでいて他の者にも優しく接するからである。ユリアのような者が人気がでないはずがないのだ。学園のほとんどはユリアのファン、いやユリアの信者である。しかしそれにも気づかないユリアは、私はそこまで美しくもないし性格も最悪よ?うーん。なんでなのかしら?とずっと考えているのであった。