表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/86

キラキラネーム(男の子編)


【妻のターン】


「ねえ、修ちゃん修ちゃん!」


「……なんだ」


「テンション低いなー。そんなことじゃお腹の子が悲しむゾ」


「その理由を教えてやろうか? 平日の午前5時にお前がお腹の上に乗っているからだ」


 ああ。この不機嫌そうな顔も可愛い。


「私、考えたんだけど」


「……どうせろくでもない考えなのだろうが、いいよ。言ってみろ?」


「ヘヘ……ババ―ン」


「おい……紙が今にも俺の眼球に密着しようとしてなにも見えない」


「もう! ワガママだなー」


「……」


 夫のテンションが低い。なんならもう眠ってしまいそうだ。


 それは哀しいので、スーッと和紙を少し離す。


「……雑草。なんだそれは?」


「生まれてくる男の子の名前」


「おやすみ」


 ちょー――――――!


「修ちゃん修ちゃん修ちゃん!」


「あ―――――! なんなんだ、寝かせてくれよ! 眠いんだ!」


「子どもの名前と修ちゃんの眠気、どっちが大事なのよ!」


「この状況においては、間違いなく眠気を取る」


「人でなし!」


「うるせーバカ!」


 妊婦なのに。


「……私、妊婦なのに」


「だからって、なんでもワガママ言っていいわけじゃないことを自覚しろ」


「お腹の赤ちゃんが……遊びたーい。パパ、遊びたーいって」


「……お姉ちゃんに遊んでもらいなさい」


 横を見ると、凛ちゃんがスヤスヤ。一向に起きる様子はない。この子は心臓に羊毛が生えている。そして、強引に起こそうとすると、生ごみを見るような目で睨まれる。


 我が母ながら、末恐ろしい娘だ。


「修ちゃん修ちゃん修ちゃん!」


「あああああ、うるせーな」


 やっと起きてくれた。


「ねえ、名前。これでいいかな?」


「いいわけないだろうおやす――「修ちゃん修ちゃん修ちゃ――「あああああうるせえなあ!」


 寝かさない。こうなれば、私も意地だ。


 今日は、仕事に行くまで、寝かせません。(キリッ)


「ダメだろ! 雑草なんて名前」


「じゃあ、なんて名前がいいの?」


「うーん……」


「ふっ……案を持たぬ者は、案を持って提案する者を批判する資格なし」


「うるせえよ! 2秒考えただけで、すぐにパッと浮かぶかバカ!」


「子どもの名前なんて365日全力で考えてしかるべきでしょバカ!」


「ああそうかお前は365日全力で考えて雑草と言う名に行き着いたわけだな、変えろ超絶バカ!」


 はぁ……はぁ……


「あったまってきたね」


「お前があまりにもワガママすぎてな」


「テヘッ♡」


「褒めてねーよ!」






 そんなこんなで、名前論争は激しくなっていった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ