結婚式(4)
【花嫁のターン】
午前9時。
真奈の他に挨拶に来てくれる友人たち。
新婦友人A
「あんたみたいの貰ってくれてほんとーに、よかったわね」
「ふふん。私の美貌にかかればこんなもんよ」
新婦友人B
「絶対に離されるんじゃないわよ。2度と奇跡は起こらないから」
「こんな美人捕まえてそんな」
新婦友人C
「殴りたくなったら、壁を殴ってって言っとくから」
「殴らないよー。修ちゃん、優しいもん」
……なんだろう、私の評価が、凄く低い。
おっ……と。こっちに来るのは修ちゃんの友達かな、
なんとなくだけど……みんな、非リア充っぽい。
新郎友人A
「ドッキリでしょう? 君みたいな美人と結婚なんて。ドッキリですよね?」
「フフ……どうでしょうね?」
新郎友人B
「奇跡ですよ。奇跡。フリーザがブルマと結婚するようなもんですよ。いいんですか?」
「ま、まあまあ。多少いいところもありますから」
新郎友人C
「あんなヤツより僕。僕と結婚しませんかね」
「……」
……なんだろう、夫の評価が、もの凄く低い。
・・・
11時。結婚式が開始。
神父による誓いの言葉が始まった。
『その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。
「いいえ。誓いません!」
・・・
「な――んちゃ――」
「このバカ野郎なにをこんな時にふざけてんだバカ野郎誓え誓え誓え!」
――痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛っ
ほっぺがぁ! ほっぺがぁっ!
「冗談だろう? 冗談でいいんだよな! お前バカ今更誓わないとかないぞ絶対にないぞ!」
「ふぎゅ―――――はひ、ひ、ひはいはふ」
な、なんてジョークが通じない夫なんだ。今後の結婚生活が……心配。
「はぁ……はぁ……はぁ……よし……
はっ! いや……その……」
夫が正気に戻り、ほっぺむにゅーを解除して周りを見渡す。すっかり青ざめた表情。
……正直、やりすぎた気がしないでもない。
ドッ!
ほっ……よかった、みんな笑ってくれた。
『き、気を取り直して……その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?』
神父が気を遣いながら、続ける。
「……仕方なく、誓います」
夫の一言に再び笑いが巻き起こる。
あー、やっぱこの人と結婚してよかったー。




