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そうだ、旅行に行こう(3)

【夫のターン】


「んーっ! よく寝た」


「……だろうな。ずっと寝てたもんなお前……最初の10分以外ずっと」


 俺は一瞬デジャブを見たかと思ったよ。


「修ちゃん……大丈夫?」


「大丈夫かって? 昨日は夜2時就寝で3時間くらいしか寝てなくてさっきのサービスエリアで買った『たません』はなぜかほとんどお前が食べてなぜか喰らわされた雑巾絞りで腕はパンパンそれでもここにいる状態を大丈夫とするんなら、ああ、大丈夫だね」


「……バナナ食べる?」


「いらん!」


 なんなんだよ、こいつ。


「そろそろ……大津サービスエリアかぁ。ねえ、知ってる? ここ、『琵琶湖カレー』が有名なんだよ」


「……まだ食うのかお前は。太るぞ」


「修ちゃん……この三段腹じゃ説得力ないよ」


「おい……掴むな掴むな……」


 確かに、こいつは食っても食っても太らない、非常に憎たらしい体質をしている。10年前にあった時とプロポーションがほとんど変わっていない。


「おにぎり食べる?」


「……砂糖入りじゃないよな」


「そんなわけないじゃーん」


 ……前に、そんなわけ、あったんだよ。


 大津サービスエリアに到着。


「うっわー、琵琶湖きれー。ねえ、琵琶湖カレー食べに行こ?」


「お、おまっ……さっき、おにぎり食ったじゃん」


「修ちゃんはね。私、食べてないよ」


 ……謀りやがったな。


「だいたいサービスエリアでご飯食べるんだったら、弁当要らんかっただろう!」


「フフフ、あれは、修ちゃん用」


 ぶっ飛ばすぞ、貴様。


「食べにいかない」


「えー、行こうよー。一口あげるから」


「……さっき、たませんも一口しか食わせてくれなかった」


 本当に、一口だった……俺が、金払ったのに。ギューってしてくれると思って、俺が金払ったのに。


「まあまあ……アーンしてあげるから」


 !?


「……別にそんなん嬉しくないし」


 とか言いながら、少しテンション上がってしまうのは、否定できない。


 琵琶湖カレー到着。


「はい、あーん♡」


 ……バシッ。


「ひ、酷い」


「ルーは!? ただのご飯じゃねぇか!」


「……欲しいの?」


「当り前だ! 琵琶湖カレーの方はルーの方だろふつー」


「じゃあ……はい、あーん♡」


 ……バシッ。


「ひ、酷――「くない! ルーとし・ろ・め・し! なにが悲しくてルーだけ食わないといかんのだ!?」


 やると思ったけども。やるとは思ったけども。


「じゃあ、はい♡」


「……なんでスプーン?」


「自分で食べて」


 あああああああ、めんどくせ――――。


「お前は、普通に一口食べさせるぐらいのことができんのか!?」


「まあまあ」


「だから……三段腹を掴むんじゃねぇよ!」


 そして、なにがどこをどう落ち着いて『まあまあ』なのか小一時間かけて説明して欲しい。


 休憩が完了し、車を発進させる。


「出発進行ー!」


「いいか、絶対寝るんじゃねぇぞ。せめて、最初の45分くらいは、絶対に寝るんじゃねぇぞ」


「わかったー」


 ……本当かよ。

             ・・・










 2時間後……鳴海サービスエリア。


「んーっ! よく寝た」


「だろうな!」 



 以下、省略の展開だった。


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