後編
家に入ると、リビングでお母さんに座って、と言われる。
「菖蒲、昨日鴇羽ちゃん家、行った?」
「…うん。」
「その時、お母さんみた?」
「ううん。」
「…そう。」
お母さんはそのまま少し黙ってしまった。なんだろう、この、胸がざわざわする感じ。
「…鴇羽ちゃんのお母さんね、事故にあっちゃったらしいの。」
「え?」
「だからね、鴇羽ちゃんに、あんまり聞かないで上げてね…。」
そう言ってあ母さんは立ち上がり、キッチンのほうへ行ってしまう。
なに、なに。わかんないよ。
急に、そんなこと言われても、どういうことか、わからないよ…。
そんな、鴇羽のお母さんが…?
わからない…よ。
次の日、鴇羽は学校に来なかった。
学校終わりに、鴇羽の家に向かう。
「…ときは。」
ドアを二回たたく。
返事も、ドアが開く気配もない。
私は恐る恐るドアを開ける。
すると、開いた。
「鴇羽…はいる、よ?」
鴇羽の部屋へ向かう。
部屋の隅で、鴇羽が座っている。
「鴇羽…大丈夫・・?」
返事は、なかった。
そばに駆け寄って、鴇羽を抱きしめる。
「…ごめんね、鴇羽。全然気づいてあげられなくて。」
「菖蒲、ちゃん?」
「いつでも私の家にくればいいからね!だから…前みたいに笑ってよ、鴇羽。」
その時鴇羽はどんな顔をしていたんだろう。
私はしらない。
高校に入った今、一緒の高校ではないけれど、まだ仲はいいし、晩御飯を一緒に食べたりしている。
お泊りだってしている。
鴇羽も笑顔でいることが多くなった。
だけど、たまに鴇羽が考えることがわからないことがあるよ。
誤字脱字報告してくれるとうれしいです。
小学生女子が抱き合っている…なんていい香りしそうなんだ…。




