中編
次の日も学校おわりに鴇羽の家に行く。
「ときはー!」
ドアを2回たたいて、出てきたのは鴇羽だった。
「……ときは…?大丈夫?」
今にも泣きそうな鴇羽を目の前に、どうしたらいいのかも、なんて声をかけたらいいのかも、わからなくなる。
「…ご、めん。今日はかえって。ありがとう、また明日ね、菖蒲ちゃん。」
そう言ってしめられたドアは、いつもよりも大きく見えた。
家に帰ると、ただいまも言わずに自分の部屋へ走った。
下でお母さんの声が聞こえた気がした。
ランドセルを乱暴に放り投げ、ベットに体を預ける。
頭が真っ白だった。
しめられたドアを前に、どうしていいかわからずにそのまま帰ってきた私は、正しかったのかな。
不安になる。
あんな鴇羽は初めて見た。
なにがおきてるのかわからない。
私は布団をかぶって、考えるのをやめて目を閉じた。
ここで私がお母さんに言っていれば、何かかわってたのかもしれないのに。
次の日、鴇羽は普通に学校にきていた。
「ときは!おはよう。」
「…菖蒲ちゃん。おはよう。昨日、ごめんね。」
明らかに様子がおかしい。
「ううん。昨日、どうしたの?」
「なんでもないよ、ちょっと、はきそうなときに菖蒲ちゃんが来るから・・。」
そう言って苦笑いをする鴇羽に、もう一度聞こうとしたら、チャイムが鳴って聞けなかった。
学校が終わって、一緒に帰ろうとしても、鴇羽はもう帰っていた。
一人で家に帰ると、お母さんが家の前で誰かとしゃべっている。
「…で、どうなったの?」
「わからないの。……で、限界……かしら」
「そんな。じゃあ……んはどうなるの?」
「そんなの…ないわよー」
お母さんとその友達?の人たちはよくわからないことをしゃべっている。
「お母さん?ただいま…」
「あら!菖蒲ちゃん!こんにちわ。」
「じゃあね、」
そういってそそくさと帰っていく人たち。
お母さんはおかえり、と言って私と一緒に家に入る。
お母さんの顔が、少し怖かった。




