コンビニに行こう
「はい!って事は…了承を貰えたって事で…専属アイドル未希です!よろしくね♪強さん♪」
「…未…希…何か悪いものでも食べたか?それとも、最近流行りのアイドル育成ゲームのやり過ぎか?」
「そんなんじゃないもん!」
未希は頬を膨らませ抗議をする。
未希は怒りを露にしているつもりだった。
しかし、コスプレ美少女が赤面リス顔に突き刺さるコールドアイって、中二病を患っている強にとっては、病状を悪化させ喜ぶにも似た感情を抱かせる結果となった。
「未希なんかカワイイ」
「ちょっと、マジで怒ってるんだからねって…いきなりモフるな!!」
あまりの可愛さに強は未希の頭を撫で始めた。
「わっ!フッワフワのサッラサラ」強は未希の髪の毛を堪能し始めた。
「ちょっ…お兄や…やめ…やめてよ…」
「あっ、ごめん…ごめん」
強は未希の頭を撫でいた左手をそっとよけた。
「えっ?」
未希の小さな呟きと共に、強の手が呆気なく自分の体から離れて行った。
寂しさを覚え抗議しようとしたが、結局自分から止めてと、言ってしまった手前、抗議したくとも出来なかった。
しかし、怒りほどではないが不満ある未希は咄嗟に別の事で強に抗議をした。
「全く髪の毛バサバサになっちゃったじゃない!」
「あっ、ごめん、ごめん…未希が可愛くてつい撫でちゃった」
そしてまた、未希の頭を数回撫でた。
目を細めされるがままの未希は、まるで子猫のようで、今にもニャーと鳴き出しそうな雰囲気になっていた。
「なんだ?今度は怒らないのか?」
「鈍感お兄は解らなくていいの♪」
「怒ったり、喜んだり…忙しい妹だな…」
「誰のせいで忙しくなってると思っているの?」
未希の鋭い視線が強に突き刺さった。
「うわっ…その静かに怒るのやめて…恐いから…」
「やめてあげても良いけど…どうしようかな…」
「わかった…アボガドとシュリンプのバインミー学校帰りに買ってきてあげるよ…」
「やった〜」
強の言葉に未希はにこやかな顔になったが、数秒うで組をして考え込んだ。
「やっぱり、今回はいいよ…お兄、それより近所のコンビニでいいから一緒に買い物いこうよ♪」
「えっ?お前バインミー要らないの?コンビニなら一人で行けるだろ?」
色々な具材をフランスパンでサンドイッチの様にしたバインミーは未希の大好物だった。
それを不意にしてまで、コンビニが良いとはどういう事かと、強は思った。
「いいの!一緒にコンビニ行くの!」
「わかった…わかった…で、いつ行くの?」
「いまから♪」
強は未希の嬉しそうな顔と出費が安く上がりそうなので、深く考えるのを止めて、コンビニに出掛けることにしたのだった。