呟きと溜め息
遅筆ですいません。
どうしても執筆にムラが出てしまいます。
コンスタントに書けるようになりたいです…
「お兄、ちゃんと食べてくれてるかな?」
未希は教室の窓から澄みきった青空を見ていた。
「そこ!食事中に余所見しない!」
未希の友人の香苗が教育的指導をした。
「あっ、ごめ〜ん」
「こう見えて風紀委員なんだからね♪」
「うん、知ってる…最近、茶髪を先生から指摘された事も知ってる…」
「うっ…何故それを…」
「皆知ってるよ♪風紀委員なら黒く染めたら…」
「そんなデビルアイで見ないでよ…これはhideファンの私のアイデンテテティーなの!」
「それを言うならアイデンティティーでしょ?」
「二人ともどっちでもいいから…早く食べないと昼休み終わっちゃうよ!」親友の知佳が声をかけた。
「ふたなり…どっちでも?」
未希が下ネタで現状回避を試みる。
「黙って食べる」
知佳の一言で現状に引き戻された。
「「は〜い」」」
アルマイト製の器を持って、生命維持の意味合いの強い給食を三人共、黙々と食べていった。
未希は給食を口の中に流し込みながら、「パパのスープといい勝負ね」などと考えていたのだった。
「強の弁当は相変わらず凄いな…」
昼休み友人と一緒に昼食を食べると、毎回言われる一言に強は素っ気ない返事をする。
「そうか?」
「そうかじゃね〜よ!毎回運動会か遠足みたいな弁当持ってきて…それを平気で平らげる、お前の胃袋が信じられん!」
「ちょっと多目なだけだぞ…」
「それの何処がちょっとなんだ?四百字以内に答えよ!」
「なにそのでき損ないの問題は?」
「でき損ないは、お前じゃボケ…何も感じないのか?お前は…」
「だから、何が?」
「その異常なまでの手の込んだボリューム弁当を前にして何も感じんのか…お前の妹凄すぎだろ…いろんな意味で…」
「いろんな意味で?…例えばどんな?」
「お前に言い寄らない女子がいないのも頷ける訳だ!」
「おい!」
「なんだ?」
「答えになって無いだろ!」
「お前なぁ…妹の異常な愛を感じないのか?」
「うちの兄弟愛は普通に良好なだけだ」
「だから、これの何処が普通って…あ〜、もういい…俺が馬鹿だった」
「分かってんじゃねぇか」
「おまっ…」
「昼休み終わっちゃうよ!」
望美が苛立った声をあげる。
「お〜、怖」
「和人私の何処が怖いのか言ってみな!」
「強の妹ネタに過剰反応するところ♪」
「アンタねぇ…ケンカ売ってる?」
「赤札特売中…」
「ほぉ〜紅い鮮血が見たいと…」
「まぁまぁ、二人とも!!ケンカは良くないぞ!いくら仲が良くても!夫婦喧嘩は誰も食わんぞ」
「誰が夫婦喧嘩だボケ…」
「そうよ!私も願い下げだわ!」
「お似合いだと思うけどなぁ…」
「だいたい、このケンカの原因は…」
「原因は?」
「強だ!」「強よ!」
「俺?」
「そうそう」
強逹のいる教室の隅で女子生徒逹が話し込んでいた。
「強君と…和人君どっちがいい?」
「私は山本君かな?」
「私も」
「男は顔じゃないわ!その点、和人は運動神経抜群で…やっぱり男は体力でしょ!」
「でも、和人君は望美が好きみたいだし…」
「強君にアプローチしようものなら…望美が黙って無いだろうし…」
「なんか?空しいわね…」
女子生徒逹は大きく溜め息をついた。