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桐の日常
「――ねぇ桐、起きて」
「ぅん・・・」
「うんって答えるだけじゃだめよ。そういってもなかなか起きて来ないの知ってるんだからね。おねぇちゃんはごまかされませんよっ――と」
バサッ
ねぇちゃんの声が途切れた直後、はだけた服の隙間から冷たい空気が入り、俺は飛び起きた。
「うわ、姉さんひどいよ」
俺が文句を言えば、目の前の車椅子に乗った少女はいたずらっぽく笑う。
「だって桐が起きないんだもの。おはよ、桐」
「もう。姉さんおはよ」
俺が返すと、’姉さん‘は嬉しそうな笑顔を返してくれた。
坂口雪
俺の今世、桐の実の姉。
少し世間知らずなところもあるが、とても優しいいい人だ。
ちなみにブラコン。
俺?勿論生まれながらのシスコンですが何か?
雪は生まれつき足が不自由で、いつも車椅子で生活を送っている。
「早く準備して外出なさいね。シンくんとココロちゃんがまってるからね」
「え"」
(まじか、そういえば今日なんかするって言ってたっけ)
記憶を取り戻して一年半。
今日もまた少し面倒な毎日が始まるようです。