矢鷹真という人間(後編)
お久し振りです。
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結果を言えば、俺は二人の申し出うけて、矢鷹真として矢鷹家の養子になった。
でもそれは、この二人を完全に信用できたからってわけじゃない。
まぁ、他の奴らに比べたら少しはいい人達かなってぐらいには警戒心が和らいでるけど、それでも端から見たら気を許せている状態には程遠い。
俺が養子になったのは、単純にあの窮屈な施設から出るため。
影では俺の悪口ばかり言ってる癖に、いざ俺を見たら勝手に怯えだす子供達。
一向に誰にもなつく様子のない俺を最近厄介者扱いし始めているスタッフ達。
関わらないとはいえ、気分が良いわけではない。
(施設より嫌な所なら、また施設に戻って来ればいい)
そんな考えで矢鷹家に向かった。
でも、いつも俺の考えの斜め上を行くのが矢鷹夫妻だ。
嫌どころか、矢鷹家はめっちゃ居心地がよかった。
矢鷹夫妻は若くして既に立派な一軒家を持っていて、俺はそこの2階に部屋を貰った。
相変わらず学校以外では部屋に引きこもりがちな俺だったけど、矢鷹夫妻は施設のスタッフみたく無理矢理俺を部屋から引きずり出したりしない。
代わりに俺が部屋から出てきた時には、ここぞとばかりに構い倒してきたけど、俺が不快にならない程度だ。
その時には色んな話をした。
会社員の正広さんは、大抵が会社であった出来事や仕事仲間についての話。
専業主夫の那美さんは、近所で聞いてきた話やパート先であったことを話すことが多かった。
んで俺はというと、お察しの通り。
始終無言で聞き役に徹した。
一緒に住むようになって、二人のことは少しずつ大丈夫になってきてるし、信用もし始めてるけど、やっぱり自分から話すのは苦手だ。
でもいつかは話せるようになればいいとも思った。
そうなるときまでは、この二人の優しさに甘えさせてもらおう。
この時確かに俺はそう思ってたし、その時を楽しみにしてた。
・・・まぁ、結局叶わなかったけど。
矢鷹家の養子に入って9年が経ち、俺が16歳になったある日の夕方、俺はいつも通り高校から矢鷹邸への帰路を歩いていた。
それから何故か真は死んだ。
どうして死んだのかは分からない。
気がついた時には、すでに桐という別の人間として生きていた。
帰り道を歩いていた後の記憶がどうしても思い出せない。
記憶が途切れてるわけではなく、思い出せないのだ。
あの後、確かに俺は何かを見たし、何が起こったのかも知ってる。
でもいざそれを思い出そうとすると、何かが邪魔をして思い出せないのだ。
まぁ気にはなるけど、無理に思い出そうとは思わない。
仮に思い出したとしても、ろくなことじゃなさそうだし、真が生き返るわけでもない。
なら、無視して桐の人生を楽しんだ方が良い。
幸いなことに、桐を取り巻く環境はかなり良いようだ。
桐の父親は大会社の社長。
しかも年収は10桁の大金持ち。
桐はその跡取り息子だ。
それに桐の容姿は黒髪碧眼の美少年。
母方の祖母がイギリス人だったらしく、クォーターだ。
それに加え、俺には前世16年分の知恵がある。
こんだけ色々持ってたら人生結構楽にいけんじゃないの?
読んで下さり、ありがとうございます<(_ _*)>
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