もみじへ
もみじへ
なんか照れるね。
普段、いつも顔を合わせているのに、こうやって手紙を綴るというのは変な感じがする。
でも、私は面と向かうと、気恥ずかしくて、なかなか本心が出せないから、手紙を送ります。
ごめんね。もみじ。
君にはいつも迷惑をかけてばかりだね。
私は、いつも仕事が忙しいと他の事を、家庭の事を置き去りにしてしまう。
もう、どれだけ、私はくれはと話をしていないだろうか。
いつも見るのは寝顔だけ。
父親失格だな、私は。
でも、ありがとう、もみじ。
君にはいろんなものをもらってばかりだ。
私は、君に少しでも返せているのかな。
私は、君に相応しいのか、もっと君達を幸せにしてくれる人がいたんじゃないかって時々不安になる。
だから、約束しようと思う。
ここでもう一度約束しようと思う。
君を、いや、君達を幸せにするって約束しようと思う。
山上紅葉はここで誓おう。
君とくれはを必ず幸せにするって約束しよう。
そして、もし、忘れそうになっても必ず思い出せるように、この山々の紅葉に誓おう。
紅葉の木に誓おう。
紅葉という我が子の名前に誓おう。
どんなことがあっても、季節が廻り、木々が色づいた時に今の気持ちを思い出せるように。
どんなことがあっても、もみじの葉のように家族が揃っていることが幸せであるように。
どんなことがあっても、紅のように明るく、そして葉のように家族みんなが元気であるように。
私達は、家族揃って初めて紅葉なのだとここに刻もう。
だから、私は頑張ろうと思う。
君達が幸せになれるように、頑張ろうと思う。
だって、それが、それこそが私の幸せなのだから。
山上紅葉