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誰も住まわないボロい小屋

誰も住まわないボロい小屋




どうやらお父さんとお母さんに捨てられたらしい。

そんなことに気づいたのはお父さんに「ここで待ってるんだよ」と言われてから3日が過ぎたときだった。

レンガ造りのボロい小屋。

雪があまりにも凄いので家に帰る道も分からない。

両親に持たされた僅かな食料も遅かれ早かれ尽きるだろう・・・

一通り小屋の中と外を見てみたけれど、小屋の中に有るのは毛糸と近くの湧き水だけ。


「あーぁ、どうしようかな」


一人呟いた声は響いて余計寂しさを増して、視界がじわりとにじむ。

アタシはなんで捨てられなきゃなんなかったんだろう。

これからどうしていけばいいんだろう。

頭の中がネガティブな考えでいっぱいに埋まってきたとき、カタンと小屋の戸から音がしたので見てみると同じ年くらいの男の子がいた。


「「え…?」」

こんなところに人なんて来ないと思ってたから突拍子な声を出してしまったとアタシは口を手で押さえた。

「あ、俺、親に捨てられたみたいなんだ、んで、その、小屋が見えたので」

向こうの男の子も人がいるとは思わなかったんだろう、アタシも人が来るなんて思わなかったから、慌てて自己紹介をした。

「え、あぁ、アタシも。あっアタシ、アンジー!アンジーってゆーの!入って!」

「あ、俺はラビ」

「どっ、どこから来たの?」

「東の森・・・」

「わぁ、アタシもそこに住んでたんだよっ、ご近所さんだ!」

ちょっとぎこちなくて妙にかみ合ってるのか合ってるのか、変な会話だけれど、不安な二人をなんだか安心させてくれるものだった。

一人より二人ってこういうこと?


「あ」

これからどうする、と。しばらく二人で喋っていると凄く良く感じられるアイディアが思いついた。

「どうしたの、アンジー」

「アタシ、凄く凄くいいことを思いついたかもしれない!!」

コショコショとラビに言うとラビは「いいアイディアだね」と言ってくれた。



次の日になって、何故かもう一人子供が増えた。

アンナという女の子はアタシたちと同じように親に捨てられたと。

次の日も、そのまた次の日も。

親に捨てられたという子供達で小屋はいっぱいになってしまった。


ある日、みんなを集めてラビが言った。

「毛糸を作って晴れのセーターを作ろう。

作って売ったお金でまた毛糸を買おう、ここを編み物工場にするんだ!」


この国は一年中雪しか降らない国で、国民は晴れをみたことがなかったのだ。

それで小屋にあったカラフルな大量の毛糸を使って、晴れを見たことのない人たちに晴れのセーターを作ろうとアンジーがラビに持ちかけたのだ。

アンジーもラビも以前、図書館の図鑑で晴れというものを見て知っていた。

だからこそ出てくるアイディアだ。


その日から皆で綺麗な空色のセーターを作った。

そして皆で街へ売りに行った、売りに行ってお金に変えて、また作った。

その間にも子供は増えていき、アンジーとラビは大人になった。


長い長い時が経って、子供たちの編み物工場はいつしか孤児院となって親に捨てられた子供達を保護するように。

それとアンジーたちは子供を捨てないように国に呼びかけ、その国の孤児は段々と少なくなり。



アンジー、ラビ、そして子供達が長く住んでいたボロい小屋は、

誰も住まわないボロい小屋へカラフルな沢山の毛糸を残してと戻りましたとさ。



拙い文章を読んでくださってありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とてもいい終わり方だと思いました。 [一言] こちらの小説お気に入り登録させて頂きました。 そして、すごく面白かったです。
2012/03/28 18:49 退会済み
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