三話
ワタシの友達である花は可愛い。
それは周知の事実だし、ぶっちゃけもてる。
小さめの身長、ふんわりとした柔らかい髪、大きい目にふくふくのほっぺ、男からしたら庇護欲をそそられること間違いないだろう。
勉強は凄く得意じゃないが家庭科はいつも5段階中5をキープ、調理実習なんかも率先してやる。
用は、すごく家庭的。お嫁にほしいくらいだ。
だが彼女にも欠点はある、まあワタシがたまに思うだけなんだが。
悩みがあるのにもかかわらず、人に相談しない。そして自分で勝手に負のループにはまってしまう。
勝手にくだらない事で悩んで(本人はくだらなくないらしい)周りが気づいたときには結構大事になってる。
ほら、今もそう。
「おい!!なんでこんなになってんだよ!!」
と叫ぶのは彼女が好きな野郎その1、藤枝である。さわやかなサッカー少年である。
「うーん、これはちょっとひどいね」
とは軟派なチャラ男、牧田だ。
「あはは、ばれちゃった。ごめんね、心配かけると思って」
とは言わずもがな、花である。
どういう事態かと言うと、花は高校に入った時から好きなやつがいる。そいつがまた周りから「王子」なんて呼ばれてる男で泣かされた女は星の数、そんなら抜け駆け禁止でみんなで愛でようみたいな男。
そんな「つきあったら女子から反感買いまくりのヤロー」の名は榊、歩く疫病神に花は片思いしていた。
それだけなら良い、だが二人の仲は進展してしまったのである。
きっかけは放課後の図書館キューピッドはお菓子のレシピ本。
寝ていた榊氏がふと起きると、届かない手を精一杯伸ばして本を取ろうとする花を発見、「なんか一生懸命で可愛い」なーんて思った榊氏は普段はまっったく無いフェミニスト心を発揮、代わりに本をとってあげようとするもキツキツにしまってあった本棚からはバラバラと本が・・・・・。
みたいな感じで出会った二人、花はあこがれの人といられるのがうれしくて、また榊は花の飾らない性格や優しさにだんだんと惹かれ・・・。
そして二人は距離を縮めていった、が、こういうラブコメにはお約束の「いじめ」がある。
まあ要するに、今までは陰口くらいで済んでいたのにとうとう実力行使が始まったというわけ。
前置きが長くなったけどそういうこと。
「おい!!おまえなんでさっきからだまってんだよ!!ダチが困ってんのみてなんかねえのかよ!!」
はあ、矛先がこっちに・・・、面倒くさい。
「藤枝君、私が悪いの!!楓ちゃんは悪くないの!!」
「でもさ、これ見て何の反応も無いってヒドクね??」
「あのさぁ」
三人がワタシを見る。
「ワタシ、怒ってるんだよね。」
そうワタシは怒ってる。
「まずは花」
「は、はい」
「なんでここまでいっちゃう前に助けを求めないの??」
そう、私たちには口がある。心に傷を負う前になぜ助けを求めない。自分の力量を把握して出来ることと出来ないこと見極めるのは大事なこと。それが出来なければ社会に出ても仕事は出来ない。
「さらにそこの馬鹿二人」
「お、おぅ」
「自分のファンくらい裁きなさいよ」
この二人を見てると明らかに花を優遇してる、これをやった中には二人の事を好きな女の子たちも入るだろう。
自分の何が悪いのかわからず、好きな人がこぞって一人を優遇していたら怒るだろう。
「そして榊」
アイツは問題外だ、特定の一人を作るならそれまでの関係をきちっと清算しやがれ!!
「最後はワタシ」
そう、何にも相談してこない花に勝手に拗ねて、いじめに気づいていたのに見て見ぬふりをしたワタシが一番最低だ。
もう最悪、どんなにテストの成績がよくてもこれじゃダメじゃん。
どうしよ、もうなきたい・・・。
「ダイジョウブだよ」
体が支えられる。暖かいぬくもりがワタシを包む
ああ、ちぃだ。
「ダイジョウブ、みんなで考えましょう」
ちぃのこえは安心する。ちぃに言われると素直に自分の非を認められる。
「とりあえず楓さん、泣きやんで下さい」
「ええっっ楓ちゃん泣いてるの?!泣かないで!!」
あ、花が焦ってる。でもどうしよ、止まらない。
ちゅ
「!!」
「はい泣きやんだ」
ニコッと笑うキミの顔は好きだけど
「馬鹿っっっ」
少しの文句は許される??
どんどんキミの魅力にはまるワタシはどうしたら良いのかな??
(なあ、おれら忘れられてる??)
(シッ、いまいいところ!!)
(邪魔しちゃだめだよう)