一話
高田楓、17歳。高校2年生。成績、どっちかっていえば良い方。顔、まあ10人中8人は可愛いって言うかも。そんなワタシは眠たがり。授業中も、帰っても、休日も暇さえあれば寝てる。もしくはラノベとゲーム。
そんなけっこう女として終わってるワタシだが、つい最近彼氏ができた。いやつい最近というのは少し語弊があるかもしれない、なんたって告白されたのは今日の昼休み。そして今は放課後。いつもはさっさと帰るワタシが今日に限ってちょっと待ち合わせなんてやっぱ浮かれてる。顔のわりに今まで異性とつきあったことがないワタシは当然処女である。
そんな奇特な男のの名前は山崎千夏。女のワタシよりずっと乙女だ。趣味は料理と裁縫、部活は手芸部だが文化祭などの時期になると調理部にも助っ人として参加するらしい。なんでらしいなのかというと、ワタシが直接聞いたわけではないから。つきあうことになったと言ったら周りがいろいろ教えてくれた。
あだ名はちなくん、少したれ目(ここ重要)のちょっとかわいい系。そう、ワタシは何を隠そう大のたれ目フェチ。好きな芸能人はみんなたれ目。好きなキャラクターもたれ目。彼の告白を受けたのもたれ目のバランスがよかったからと声がきれいだったから。
ああ、そんな風にぼーっとしてるとあいつが迎えに来た。ワタシの好みの声で、ワタシの好きな目で、ワタシのことをやさしく呼ぶんだ「楓さん、一緒にかえりましょう」って。
ホントにズルイ。