堕落
僕は一体何をしているのか。床一面に転がる注射器。ホコリのたまった部屋の隅。カーテンを締め切り、光が入らないカビの生えた暗い部屋。彼女は薬のやり過ぎで死んだ。毎日が苦しい。息がしにくい。僕はなんのために生きているのか。
ぴんぽーん。
インターホンが鳴る。
僕はしぶしぶ玄関に向かいドアを開けた。
そこには女が立っていた。
「やぁ、僕が迎えに来たよ」
「…な…んで…君が…」
彼女だ。死んだはずの。間違いない。黒曜石のように奇麗でゾッとするほど大きく光のない瞳に、腰あたりまで伸びた艶のある漆黒の髪。日本人形のような彼女。
…でも違う。コレは彼女じゃない。
だって、体の細胞の一つ一つが逃げろと警告している。
早く逃げなきゃ。
早く目を逸らさなきゃ。
でも…彼女に釘付けになって目を離せない。彼女を見た瞬間虜になって心も身体も魅了されてしまってどうしようもないほど引き付けられてしまった。彼女の瞳に吸い込まれて身体が動かない。呼吸がちゃんとできているのかすらもう分からない。
『僕を見ろ』と彼女の瞳は言っている。
それと同じくらい僕ももっとその瞳で僕を見てほしい。
ぎゅっ。
彼女は僕を抱きしめた。
「大丈夫。僕も同じだから。怖くないよ。恥ずかしくないよ」
もっと。もっと。僕を見て。
「君はここにいていいんだよ。そのままでいいんだよ。僕が君の全部、肯定してあげるから」
僕の救世主。
やっと、会えた。彼女だ。やっと。
泣いちゃう僕を助けてくれるそんなヒーロー。
そういう存在に彼女は為ったのだ。
「大丈夫、一緒に堕ちようね」
やっと僕の人生が報われる。
そんな気がした。
「行こう」
彼女は僕の手を引いた。
僕らは飛べた。初めて知れた。二人で飛んだ。嬉しかった。君と会えて。
もし…もう少しだけ、本当にあとほんの少しだけでも良い。生きやすい世界に生まれていたのなら。
あぁ、だめだ。堕ちる。
大好き!
読んでいただきありがとうございます…✨
エロ同人誌からインスピレーションを受けて思いつきました…✨




