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みんな違ってみんないいとは必ずしも言えない。

作者: 紫黄

  みんなの体は赤色だけど、僕は生まれつき体が真っ黒だ。お祭りの金魚掬いでたまたま掬われてある日突然一緒に暮らすことになった。みんなとはすぐに打ち解けることができて、この黒い体をとても褒めてくれた。正直自分の中ではコンプレックスだったんだけど、みんなすごく羨ましがってくれて嬉しかった。この体の色で良かったと生まれて初めて思った。こんなにチヤホヤされたことは未だかつてなかった。 僕を含む8匹の金魚たちは自分たちには到底見合わない大きさの水槽に心を躍らせた。あの時はものすごい数の金魚たちがいてすごく狭かったから、開放的でとても嬉しい。みんなで端から端まで競争してみたり、追いかけっこしたりした。今までは少し疎外感を感じていたから分け隔てなく接してくれてみんなすごく優しかった。ご飯もすごく美味しいし、毎日みんなと遊べて本当に楽しい・・・!これが幸せっていうものなのかな。そう思ったのも束の間だった。


  ある日を境に、僕はみんなから避けられるようになった。昨日までは普通に仲間に入れてくれたのに、あまりにも急な出来事だった。僕がみんなのいる方に泳いでいくと、みんなは反対方向に移動する。また移動したみんなの方に行くと、さっきの位置に戻っていく。訳がわからない。僕は何もしてないのに。ご飯も食べれなくなった。食べようとすると、食べるなと体を口でつっつかれる。すごく痛い。それから一切何も食べていない。お腹すいた。辛い、しんどい。みんなが遊んでいる中、僕はトンネルの中からじっと眺めている。見ているとどうやら、一番最初に僕に話しかけてくれて僕の体の色を素敵だと言ってくれたあの子がグループのボスらしい。もう何も信じられない。何があの子の癪に触ったのかわからない。あの言葉はきっと嘘だったんだ。ここに来る前はみんなと色が違って変わってるとはたくさん言われたけど、こんなことはされなかった。やっと受け入れてもらえたと思ったのに。 こんな日々が死ぬまで続くと思っていたある日、急に呼び出された。一体どういう風の吹き回しだと思っていると、急に体を噛みちぎられた。それから全員に体を四方八方から喰われた。痛い、痛いよ、何もしてないのに、ただみんなと遊んで楽しく暮らしたかっただけなのに。死にたくないよ・・・。_____________





『おかあさーん金魚が共食いして死んでるー』


『あらやだ。ティッシュにくるんで捨てておいてー』


『はーい』



めんどくさ。この黒い子割と気に入ってたのにな。魚でもそういうのあるんだな。何も考えてなさそうなのに。やっぱ少しでも目立ったりするものは排除されちゃうんだな。____ だって目障りなんだもん。この金魚たちの気持ちわかる、自分たちより目立つ奴が許せなかったんだよ。邪魔なもんは邪魔。仕方なかったんだよ。この世界は弱いものは食われるんだ。そういうふうにできてるんだよ。魚の世界でもそうなんだ。人間の世界でもそういうことがあるのは当たり前だよね。さてと、あいつはもう学校来なくなったから次は誰にしようかな〜





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