第03話 蹂躙
「死んで。」
光輪病というのは不治の病だ。
その感染源には数多くの仮説が立てられている、ここではその中で最も有力とされていたものを一つ紹介しよう。
一つ、未知の感染源、最初の感染者はクロイツフェルトヤコブ病の様に人体の魂に付随する位置の「何か」が不具合を起こし孤発性として起こったという説。
しかしこれは、次の事実で否定される。
最初の感染者は一人ではない、ならば彼らにの共通点はなにか。
それは一つ、「ある場所」にいったことがあるかどうか。
「あの場所」か
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「どうしたオーディナル。小声でぼそぼそとそんなに不思議だったか?それとも俺に椅子代わりにされている現状に不満があるのか。」
そうだ、私はあの後結局負けてしまった。彼に全く歯が立たず床を転がり、こうして倒れた所を彼が寛ぐためのインテリアに成り下がっている。
それを面白そうな笑みを浮かべ覗きこんでくる男の何といういやらしい事だろうか。
けれど、いやそうか。
「これが「報い」か。」
男が目を丸くする気配が伝わってくる。
どうしてだろう。
私はただ床に転がる胸を貫かれた子供たちをみてそう実感しただけだというのに。
全て全て正義だった。
全て命令された通りにやってきたのだ。あらゆる事を。
・・・・思えば命令された通りにしなかったのは自分の性癖に正直に従ったのは彼との行動だけかもしれない。
そしてそれがこの家を造った、彼との関係を作った、今の私を創った、子どもたちをつくった。けれど今は、、、、、、
「・・・・・っ。」
強く歯を食いしばる。
今の私はいわば残りカスだ。
「力」をほとんど渡した「聖女」の残滓だ。
けれど残りカスには残りカスなりの使い方がある。
「あめにはさかえ、み神にあれや
「貴様。何を言っている。」
男の顔が疑問と微かな焦燥に埋め尽くされる。
「つちにはやすき、ひとにあれやと
「よせ。」
「みつかいたちのたたうる歌を
「やめろ!!」
やがて男の顔は完全に危機感に染まる。
男は自身の股の隙間に手を入れ、そこの奥にある私の口を塞ごうとする。
・・・・けれど遅い。
視界が白く染まる。おそらくは体から光がでていたのだろう。男の手が腕が体が光に押し出される感覚が伝わってくる。
「ききてもろびと、ともによろこび
それを気にする事なく瞼を閉じ口にする。
「今ぞ生まれし君をたたえよ。」
濁流が体の隅々を巡る。
それは私の「聖女」としての力。
敵を殺す為の力。それを今仇を殺す為に使う。
それで良いはずだったのだ。
「まってオルちゃん。」
その声を識っていた。その呼び方を識っていた。そのはにかみかたを、識っていた。だからこそ動けなくなってしまったのだ。
なにせそれはまるっきり「彼」のものだったから。