生き地獄
暴力表現多め、注意
鑑定の次の日からの俺の扱いは酷いものだった。
「オラァ!オラァ!!ドラァ!!!」
鬼塚が楽しそうに拳を振るった。
-どかぁぁぁん -
「がはッ...ごほっ」
俺は壁に激突し、成すすべなく地面へ倒れた。
「ほーん、だいぶ耐えれるようになったじゃねえか。じゃあこれならどうだ?」
「雷よ、一つの矢となりて敵を穿て!
サンダーアロー!!」
ドスッ...バリリィィィィ!!!
「ガァァァァァァァァァァァ...」
今度は雷魔法...痛い、辛い、...もう一ヶ月もサンドバッグ扱いだ。サンドバッグ初日は倒れた後に、ポーションをくれるからと安心していたが、初級ポーションひとつで何とかしろって言われた時は本当に死を覚悟した。
え?何でそれから一カ月も耐えれてるのかって?
そんなもんポーションになけなしの魔力ちびちび夜通し流し続けたらポーションの質が上がったんだよ。
おかげで内部の怪我なら完治できるまでにしたんだ。
まぁその次の日、怪我の治りが思ったよりいいからって理由でもっとボコボコにされたけどな...
俺の耐久値は上がってはいる。
-ステータス-と唱えれば自分の能力値とか称号とかスキルとかいろんな情報がみることができた。
他のみんなは知らされていたらしいが、おれは夜ブツブツ言ってたらなんかできた。運が良かったんだろう。地球で読んだ漫画に感謝だな。
耐久値が上がったとしてもみんなの方がステータスの上がりが早いのは確かだ。それこそ元のステータスの差を無しにしても天と地ほどの差がある。
「ハハハッ最高だなぁ魔法ってのは」
そう呟いたのは鬼塚の仲間の一人、いつも大体鬼塚と一緒にいる取り巻き、佐伯正人だ。
こいつは本当に暴力を振るうことで快楽を得ているようなヤバいやつだ。
ちなみにこいつは鑑定では -B-で、魔導士だ。
その名の通り、魔法を得意としている。
他の取り巻きも全員 -C-は超えてる。
化け物どもが...
こいつらはたまにみんなとの特訓を抜け出して俺に八つ当たりに来る。それ以外は暇な騎士たちに威力は低くとも、同じ扱いを受けている。
はぁ...本当に、生き地獄とはこのことだな...
「あー、スッキリしたぁまた頼むぜぇ無能?せいぜいくたばんなよ、サンドバッグはストレス発散には必須なんだからよぉ」
「さて、そろそろ帰るか。勇者様は時間に厳しいからなぁ」
二人はそう言うと去って行った。
「おい無能!明日は合同ダンジョン攻略だ。聖女様に勘付かれるのはまずいからな、とりあえず連れて行く。だがお前はすぐ死ぬから身代わりになれば万々歳だ。くれぐれも余計なことは口にするなよ。」
騎士はそう言うと出て行った。
「いってぇ...治るのか?これ...せめてもうちょっと質のいいもんくれよ...」
仰向けになりながらおれはそう呟いた。
次回ダンジョンへ!!!