表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隕石追放シリーズ

天才君の護衛ちゃん

 第四回なろうラジオ大賞参加作品第十弾!


「今日から貴方の護衛を担当する事になりました、(もの)()(あま)()一等空尉と申します! (よろ)しくお願いします!」


「護衛って。ようは僕の見張りでしょ」


 世界中から戦争が無くなり、それに(ともな)い今まで戦争につぎ込まれていた分の(かね)を国連は宇宙開発へつぎ込み、人類が月や火星に生活圏を創り出してから百数年。


 余所(よそ)の惑星に半分近くの地球人が移住し、地球にはそれなりにスペースが出来(でき)たものの……僕はそんな世界を回れずにいた。


 それは、僕の頭が良過ぎるせい。

 十三歳の時に飛び級で、大宇宙時代たる今も残るMITに所属し、そして学内で(おこな)った実験を(つう)じ身の毛もよだつ数多くの兵器開発理論を考え付き……その頭脳が犯罪組織に悪用されないよう、国連の決定で軟禁状態にあるのだ。


 ちなみに軟禁場所は、どこかの雪山。

 そう簡単に脱出できないように目隠しされ連れてこられたから、さすがに場所は分からない。けど窓からの景色で雪山だとは分かる。


 そしてその上で、国連は、念には念を入れ、なんらかの手段で脱出されないよう……護衛ならぬ監視役を送り込んでくるのだ。


 ちなみに、今回の護衛は僕と同じくらいの身長の……少女だ。

 まさか国連軍はそんなに人手不足なのか。それともこの()も天才なのか。戦闘機操縦の。でもなんだろう。失礼だが雰囲気的に、天然に見える。


「それにしても、(せま)い場所に住んでますね」


 そして、その予想は間違ってなかった。

 天音一等空尉は僕がいる施設に入りいきなりそう言った。


「こんな場所にずっといて、息が詰まりません?」


「まぁ、詰まらないと言えば嘘になる」


「じゃあ今日は、私の自己紹介も()ねて一緒に飛びません?」


「……は?」


     ※


 そして僕は、地獄を味わった。

 彼女がここまで乗ってきた愛機である、宇宙航行も可能な最新の戦闘機に乗り、なんと音速以上の速さで付近を飛び回ったのだ。おかげで吐きかけた。


「おまっ、僕はこういうの乗った事ないんだぞ? 最高速度で飛ぶ奴があるか!」


 おかげでここがヒマラヤだと分かったがそれはそれとして苦しい。


「ごめんごめん。でも、良い息抜きになりましたよね?」


 息どころか昼食まで抜きそうになった……と言いかけ、僕は思い直した。

 まさか国連は、僕の理論を理解できない、悪用できない天然な監視役を、しかも同年代の()を派遣する事で、僕がより脱走しないよう、息抜きができるようにしたんじゃないかと。


「いや、そこまで考えるか?」


 だったら嬉しいけど、実際はどうだかな。


 天音「それじゃあもう一回乗りますか!」

主人公「勘弁してッ!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 天音ちゃんが監禁上等のヤンデレだったら、とてもいいなと思いました←ゲスい願望(*´Д`*)
[一言] てぇてぇ( ˘ω˘ )
[良い点] 天才も楽じゃないのです~°・(ノД`)・°・ 飯抜き出来てよかったですね(良くない)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ