力押しには力押しで
力がないと嘆いた人々は、答えを見つけた。
力さえあれば、いいのだと。
この世界には、虐げる者と虐げられる者がいる。
俺達は虐げられる者だから、地べたに這いつくばって生きていなければならない。
しかし、虐げる者は天空にある城で悠々自適に過ごしているのだろう。
やつらをこの地べたに落としたい。
空を飛ぶための羽をむしって、みじめにしたい。
けれど、どんなに願ったって、それを叶えるための方法がなければどうしようもない。
でも、ある日俺達は手に入れた。
強力な武器を。
空を飛ぶ、あの忌々しい羽虫を打ち落とすための、手段を。
谷底の、さび尽きた鉄のコンテナの中で。
どうしてそれがあったのか分からないけれど、俺達はその武器を使う事にした。
すると、その一撃は強力だった。
撃ち落されたち羽虫達は一瞬でバラバラになっていった。
もっと苦しむ姿を見たかったのに、それが叶わないのが不満だ。
でも、いい。
俺達の頭上でうるさくとびまわる虫なんて、いないに越したことないんだから。
そのうち、羽虫達はもっと上の方に逃げていった。
それで、二度と俺達の前に姿を現す事がなくなった。
ざまぁみろだ。
もしまた来るようなら、打ち落としてやる。
虐げられる者達から、思いがけない反抗をうけた者達は、空の果てでわずらわしい思いをしていた。
虐げる者達が遠い昔に落とした砲台が、拾われてしまったようだ。
しかし彼らは不快感をしめすだけで、慌てはしない。
技術の進んだ今なら、あの砲台よりもっと威力の強いものがあるからだ。
すぐに勢いついた地上の蟻たちを一掃できるだろう。
力がある。
だから負けはしない。