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呼応  作者: 師走
38/40

38

「君が先に死んだら、神様によろしく言っといてくれ

僕が先に死んだら、なにもせずに黙っていよう

これでフェアだ」


スギゴケが生え揃った地面を、悠然と鹿が歩く

この、高野山というのはつまらぬところで

私の身体に少しずつ毒を注入し

ついに頭を剃り上げさせてしまった


明後日、修行が始まる

こんなこともできないのかと威張られながら、

50日間の合宿だ

その行事が私にどのような影響を与えるか(そしてそれは創造的なものか破壊的なものか)、さっぱりわかんない


昨日の晩こういう夢を見た

サンスクリット語の教員が、沢山の社会人に公開講座をしている

せっかくの夏休みであるのに、私はそれにわざわざ参加し、さっぱり別事をしている

何しにきたんですかと、教員は言う

そして社会人らは熱心にメモを取る

私は机下にぶちまけたテキスト類を拾い集めるのに時間をかけている


昨日の昼下がりは、海で泳いだ

ゆめタウンで太鼓の達人をして、シュノーケルを買って、そして海で泳いだ

こいつは珍しい魚だと、はしゃいでいると、

これはベラといって、どこにでもいるやつだ、俺もよく釣って食った、と父が言う


海中は、涎が大量に浮いているように、濁っていた

そして私は溺れないように、あまり沖に出ないで泳ぐのだ

どれだけバタ足しても、前進しないのはどうしてだろう


明後日には、私の夏が終わる

やっぱり悲しい夏休みだった

今日も焦って通天閣へ行き、40分待ちに絶望する

代わりに30分1000円のお笑いライブに行った

ツタンカーメンの仮面をつけたパンイチの男が、ダルマ落としをしくじってスフィンクスふぉー!と叫ぶ

ウケてた


高野山行きの電車は、道が少しずつ悪くなるので、次第にコウコウ言いだす

先端が茶色に枯れた高野槙

…暗記しとけと言われた経の内容、覚えてるだろうか

あー、蝉も既に鳴いてないじゃないか、どうしてくれるのだ


外国人の旅行者が、わりと小さなリュックを背負って私の隣を歩く

色々と、楽観的に考えてみようと思う


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