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呼応  作者: 師走
37/40

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梅雨、夜、カタカタいう窓のある部屋、において

私、通話の切れたスマホを持って

ああ、申し訳なさに身悶えして。


所詮蕾は膨れるだけ膨れて

期待させておいていきなりポロリと枝から落ちる


さよならを、言う私は

むっつりした絶望を従えて……

あのね、スケさんカクさんみたいに従えて

歩く歩く

悪代官なんかいやしないのに


勢いに任せて、生きることは危険だから

私は過度に慎重に息をする

心電図の規則的な尖り方は、なんだか控えめで、悲しげに見えた


ヘリコプター、空でパタパタいう音、それを聞くと

昔々、やっぱりヘリコプターのその音を聞いて

自分が、ヘリコプターになって、ぐるぐる体を回していた、そんなことを思い出す

私は何にでもなれた

けれど、何にもなれなかった。


同じことの永遠の繰り返しを

私は死と同一に考えている

だからこそ、日常!という言葉に

尋常でない危機を見出す


されど私のことを理解してくれる存在は

この世界のどこにだって現れない

自分でさえ、自分のことがまるでわからないのだ


私を抱き止め、離さない、貧しい心

何もかも、みんな、あぶくになって消えちゃう

それを期待する眼は、鏡を覗かなくたって

濁ってると、わかる

ねえ悪魔、あなたは上品だ、悪を自覚しているのだから

私は、いつもどっちつかずで

やっぱり、何にもなれない。


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