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呼応  作者: 師走
32/40

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ああ、なんてすばらしいんだろう

真夏に食べた、しっぽくうどん。


ぼくが夏休みにしたことは、

はさみにもぐさにトラに雲。

ゆっくり寝てもいたけれど。


アイスクリームを口の中に頬張ったら、

少し寂しい。

甘えた声がのどからとび出て、

床にばらまかれて、かわいていく

おかあさん、おかあさん。


プールサイドで足を水にひたして、ぽしゃぽしゃしていたら、

すぐそばで、女の子がこっちを見ていた

その子は水の中でケンケンしていて、

浮いたりしずんだりしていた


おはようさん!

今日もいいてんき!

わたしの中で、レモンのカラッとした汁がはじける

夜のあいだ、わたしをつつんでいた布団は、

もう、ひと一人分のすき間をつくって

ぺたっとしなびてる


おはようさん!

今日もからげんき!

わたしの中で、ぶどうのじゅわっとした液がしみでる

これから学校へ連れていく、ランドセルは

もう、教科書を入れるだけのすき間をつくって

ぴかぴかと待っている


やだなあ。


たぶん、みんな知らないんだと思う

ぼくと君だけの、ヒミツです

夜の星のなかで、

オレンジぽいのがあること、

それと、カシマせんせいの首の下っ側に

小さなきずがついていること

ぼくと君だけの、ヒミツです


ふわふわしてるものを食べたいわ

わたあめ?だめだめ、もっともっとふわふわしたもの

風船よりも、もっともっとふくらんで

かじったことにすら気がつかないくらい、やわらかいもの。

それは、きっと空気よりもうすくて

わたしたちの、目にも見えない

目には見えないけれど、ときどきベロにひっついて

つるっとのみ込まれちゃうの

しらずしらずに、食べられちゃうの


おれは子どもの王様だ

いっつもむっつりうでくみをして

オトナたちの話をきいている


ボールをなげたら

つよくつよくなげたら

とおくとおくで見てきたことを、

きっと教えてくれるでしょう


コップをわっちゃった

あんな大事にしてたのに

がしゃんっていって

われちゃった

おこられると思ってたのに

ママは怒らなかったけど

かわりにそうじしてくれた

はへんをひろって、そうじきをかけて

いいのよ、っていった

ママのせなか。


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