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日が沈む直前の時間に、カスカスの豆腐を食べつつ、家にいる私
まさにこの時間、日が沈むのだということを意識の外に追いやって
風呂の湯加減なんかを考えている
罪とは、いきなり生成できるものではないのだろう
それは徐々に徐々に、こういうふとした瞬間に、自分の体のどこかに、積もり積もっていく
私は罪を重ね続けて、そのせいで少しだけ肩が凝る
ほんの少しだけ焦る
風呂から出たのちに、ドライヤーで髪を乾かして
皺の寄せ集められた布団に寝転がる
鼻の内側に溜められた、その淀んだ空気が抜き出ていく
自分の不潔が憎々しい
一日一度、まぶたが落ち切るまでの間、この苦痛を嫌というほど味わう
それはしかし、大抵うまい具合に消化して明日の朝には持ち越さない
ただ、しばしば悪夢を見る
いわれのない悲しみにせっつかれること
収めようもなき怒りに困惑すること
私の体は、私自身にさえ、しきりに傷つけられ、疲弊する
「子供は泣けるから良いわ。大人は泣けないから」
母のあの言葉通り、私はすでに涙の流し方を忘れ
抗議する余力はなく、嫌悪感を示すこともできない
私の荒れ狂う感情は、表に少しも出てこない
見えないうちに、体の内側で、粘り気のある渦が。
人は仮面をつけて生きているのだ
私も、笑える、にっこりと
しかしその仮面を外せば、何が残るだろう
無表情の私は、それは本当の私か?
そうじゃない、それもまた仮面だ、もう一枚剥ぎ取ってみよう
するとその下には、ほとんど顔の変わらない、私が呆然としている、しかしこれもまた仮面だ
一枚一枚剥ぎ取っていく
足元には自分の仮面が散らばって拡がる
私の顔は少しずつ薄くなっていく
硬直した仮面、仮面、仮面
私の顔がすっかりなくなってしまうまで、それしかない
曇った鏡に、鋭く跳ねた寝癖が映る
細い奥二重の目で自分と見つめ合いながら
その髪を左手で軽く押さえて歯を磨く
唇の端に白い泡が付く
鼻周りの毛穴がぽつぽつと漂う
朝日が天井窓から黄色に差し込む
そういう、全て。
まとめて口から吐き出して、水に流す
罪深い私は、救済などないことを知っている
生きているうち、罪から解放されることなどないことを知っている
時計の針が一周するうちに、また日暮れはやってくる
朝食をほふりながら、自分が生き延びている無意味さを
例によって意識の外に追い立てる




