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後輩(ぼく)と先輩(かのじょ)の恋物語  作者: 白城縁
二月 バレンタイン
98/126

甘い罠には御用心?

――――――


 二月の行事が半ば強引にではあったが決まってからは毎日が大忙しだった。

「ユウ、楓ちゃん頼んでいた件はどうなった? そろそろいけないとスケジュール的にキツそうなんだけど?」

 僕はユウと楓ちゃんから渡された資料とカレンダーを交互に見ながらそう声をかけた。

「すまん。もう一日だけ待ってもらって良いか? 必ず間に合わせるから」

「こっちの事は心配しないで。ルイは他の事に集中して」

 二人から力強い言葉をもらい、それ以上心配する事はなく自分の仕事に集中する事にした。

「九重先輩ここなんですけど……」

 次に僕は九重先輩から渡されていた資料に目を通すと、直ぐに九重先輩に声をかけた。

「すまない瑠衣。私が間違ってしまっていたようだ。直ぐに修正したのを用意する」

 僕が資料の一部に指を刺しただけで九重先輩は間違いに気がついたようで、慌てて資料を僕から受け取るとパソコンに向かった。

「ふぅ……」

 僕は少し気を張り過ぎていたようで、思いの外深い息を吐いた。

「大丈夫瑠衣? 疲れてない?」

 僕の様子を見て皐月さんは心配そうに僕にそう声をかけて来た。

「……う、うぅ……」

 皐月さんに優しく声をかけられ、ついつい甘えそうになってしまった僕は何とか思いとどまる為、変な声が出てしまった。

「……本当に大丈夫? 無理してない?」

 僕があまりにも変な声を出してしまったせいか、より一層心配をかけてしまったようで、皐月さんは僕の顔を覗き込んできた。

「……そんなに優しくしないで下さいよ……そんなに優しくされちゃったら甘えちゃうじゃないですか……」

 僕は素直に思っていることを口にした。

「……あらっ? 別に悪いことではないじゃない……その為の生徒会なのだし……それに私は瑠衣の彼女なんだから……」

 皐月さんは不思議そうな表情をした後、微笑みながらそう言って来た。

「……そんな事を言って僕は乗せられませんよ? 皐月さんは受験勉強に集中して下さい! そもそも何で今まで言ってくれなかったんですか? それに普通の学校だったらこの時期まで三年生が生徒会長をしてないでしょ? 全くもう……」

 僕は皐月さんの甘い言葉に乗せられる事なく、首を大きく振ると皐月さんに食ってかかった。

「はぁ……分かったわ……今回は貴方達に全て任せるわ……それじゃあ私は図書室にでも行って勉強する事にするわ」

 皐月さんは諦めたようで、そう言うと生徒会室から出ていった。

「さてと……皐月さんにこれ以上負担をかけない為にももっと僕が頑張らないと……」

 僕は皐月さんが生徒会室を出ていくのを見届けると、気合を入れ直してパソコンに向き直った。

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