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後輩(ぼく)と先輩(かのじょ)の恋物語  作者: 白城縁
二月 バレンタイン
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新しい行事

 年末年始の休みも終え、何事もなく一月は過ぎていった。そんな二月に入って直ぐの生徒会室では頭を抱えた皐月さんの姿があった。

「うーん……困ったわね……」

 皐月さんはいつにもなく本当に困ったような表情をしていた。。

「さっきから唸ってますけど大丈夫ですか? 調子でも悪いんですか?」

 あまりにもずっと唸っているものだから、僕は自分の仕事の手を止め皐月さんに声をかけた。

「……別に体調が悪い訳では無いわ。ただ新しい行事を考えているのだけれど中々思いつかなくてね……」

 皐月さんは色々な案を書いた紙を僕に渡して来た。

「何々……雪祭りに雪祭り。それに雪祭りと……」

 僕は紙に書いてあった文字を上から読んだ。

「……って雪祭りしか書いてないじゃないですか! いくつか案があるのかと思ったら全然ダメダメじゃないですか……」

 僕は紙を放り投げながらついつい叫んでしまった。

「……本当に珍しいですね……会長さんがそんなに頭を悩ませるなんて……」

 僕たちの様子を傍から見ていた楓ちゃんは驚いたようにそう言って来た。

「……確かにボクも結構会長の事は見て来ましたけど、こんなになってるのは初めてですね……」

 九重先輩はそう言いながらも手は動かしていた。

「……元々二月は何も無かったんでしたっけ?」

 僕はそもそも行事の全てを知っている訳では無かったので皐月さんにそう訊いた。

「そうなのよ……実は十二月からこれといった行事は元々無かったのよ……でも折角だからこの二月に何かやれれば生徒たちも楽しめるかなって思ったのだけれど……」

 皐月さんはそう言いながらも、頭に手を当てながら案を捻り出そうとしていた。

「……皐月さん変わりましたね?」

 僕は皐月さんの口からそんな言葉が出てくるとは思わず、ついつい驚いてしまった。

「……私が変わった?」

 とうの本人である皐月さんには全く自覚がなかったようで、不思議そうな表情をしていた。

「うん……出逢った頃よりもずっと良くなりました。それが僕と出逢ったからのが少しでも関係するのであれば嬉しいです」

 僕は今までで一番だと思うくらいの笑顔を浮かべて皐月さんにそう言った。

「……そんなの当たり前じゃない……瑠衣のおかげに決まってるじゃない……」

 皐月さんはそう言いながら僕の近くまで来るとそっと抱きしめてくれた。

「皐月さん……」

「瑠衣……」

 僕たちはここが生徒会室だと言うことも忘れ、しばらくの間二人だけの時間を楽しんでいた。

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