初めてのお墓参り
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「お父さん……お母さん……今まで一度もここに来れなかった事本当にごめんなさい……」
事前に今の両親から聞いていた本当の両親のお墓の前に着くと直ぐに深々と頭を下げた。
「……ここにいたんだね……逢いに来れなくて本当にごめん……」
僕はもう一度そう言うと、静かに涙を流した。
「……ふぅ……お待たせしてすみません……皐月さんには言ってなかったですけど実はここに来るの初めてだったんです……そう、本当は一人で来るのが凄く怖かった」
僕はそう言いながら皐月さん胸へと飛び込んだ。
「……そう……」
皐月さんはそれ以上何も言う事は無く、ゆっくりと抱きしめてくれた。
「あぁ……本当に皐月さんが僕の彼女で良かったです……」
僕は皐月さんに抱きしめられながら、しみじみとそう言った。
「……何を言ってるのよ……それは私の台詞だよ……」
皐月さんは一層強く僕を抱きしめながらそう言って来た。
「……そう言えばすっかり忘れていましたけど……ここって僕の本当に両親の前のお墓でしたね……何だか少し恥ずかしいですね」
僕はここがお墓でしかも本当の両親のお墓の前だった事を思い出した。
「……そう言えばそうだったわね……一体私たちは何をしているのかしらね……」
皐月さんも僕の言葉で思い出したようで、僕から離れると顔を赤くした。
「今更だけど紹介するね? 僕の彼女の篠宮皐月さん。僕の今通ってる生徒会長さんなんだよ? 凄いでしょ?」
僕はお墓の前に改めて立つと、ニコニコしながら説明を始めた。
「別に凄くなんてないわよ……って随分と簡単な説明ね……まぁ、構わないけど……初めまして瑠衣君の彼女をさせてもらってます篠宮皐月です……」
皐月さんは首を振りながらそう言うと、お墓の前に立ち姿勢を正した。
「もう、本当に皐月さんは真面目何だから……でもその方が皐月さんらしいですね……でねでね……皐月さんってね……」
皐月さんはやはり皐月さんで僕が言う事全てに言葉を返し、謙遜していた。
それから暗くなるまでの間、僕は今まで話せなかった数々の出来事を気が済むまで話していた。
 




