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当たり前になりつつある環境

――――――


「んんーふあーさむさむ……」

 冷たい風が顔に当たり、僕は夢から現実へと戻って来た。

「……寒かったからしら悪いわね……それにしても今日の瑠衣は随分とお寝坊さんね……」

 隣に座っていた皐月さんは、僕の顔を見ながらニコニコとしていた。

「……皐月さんが起きるの早すぎるんですよ……昨日……と言うか今日何時で寝たと思ってるんですか?」

 僕は既に正午過ぎを指した時計を見ながらあくびを噛み殺した。

「……確かにだいぶ遅かったけど、流石に昼過ぎまでは寝過ぎよ? 折角彼女の家に来ているんだから……もっとこう楽しまないと……」

 皐月さんはもう一度諭すように僕にそう言って来た。

「確かに皐月さんの言う通りかも知れないですけど……正直ここに居るのに慣れすぎて全然違和感ないんですよね……」

 僕は皐月さんの言葉に納得しながらも、あまりにも当たり前になりつつあるこの状況に困っていた。

「……それなら今度は私が瑠衣の家に行こうか?」

 皐月さんは少しだけ悩む仕草をすると、遠慮がちにそう訊いて来た。

「……そうですね……そうしましょうか」

 僕は皐月さんからの何気ない提案で覚悟を決めるとそう返した。

「……そう、なら何か手土産を持って行かないとね」

 皐月さんは何やら携帯で調べ物を始めた様子だった。

「……それじゃあ行きましょうか?」

「え……」

 僕がさも当たり前のようにそう言うと、皐月さんは鳩が豆鉄砲をくらったような表情をしていた。

「なーにそんな素っ頓狂な声出してるんですか……早く準備してください。あんまり時間ないんですから……」

 僕はそう言いながら、小さいショルダーバッグを肩に担ぎ皐月さんを促した。

「……本当に瑠衣は突然よね……って言うか時間がないのは瑠衣がこんな時間まで寝ているからでしょうがー!!」

 後ろからそんな皐月さんの心の叫びが聞こえて来たので、僕は苦笑いをする事しか出来なかった。

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