お祭りといえば……
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「はぁ……気を取り直してお祭りを楽しむ事にしますか……」
僕は今一度大きな溜息を吐いてから、皐月さんにそう言った。
「珍しく随分と振り回されっぱなしね……」
僕が大きな溜息を吐いたのを見て、皐月さんは笑いながらそう言って来た。
「……まぁ、仕方ないんじゃ無いですか? 最近は迷惑掛けっぱなしですし……でもしばらくしたら僕も黙って無いですよ?」
僕はそう言いながら口元をにやりとした。
「……私も弄るのは程々にしておこうかしら……後が怖すぎるし」
僕の悪魔的な笑みを見て、皐月さんは少し身震いをした。
「さてさて改めまして、何食べます? たこ焼きですか? お好み焼きですか?」
僕は気持ちを切り替え、目の前に広がる屋台の数々を指差しながらそう言った。
「……ご飯ってさっき食べたばかりよね? どうしてそんな重いもの……しかも何で粉物ばかりなの?」
僕が提案した食べ物はお気に召さなかったようで、随分と嫌そうな表情でそう言って来た。
「んーそれじゃあクレープですか?」
僕はそんな皐月さんの表情を見て、プラスで甘いものも提案した。
「……やっぱり粉物なんじゃない……そんなに粉物好きなの?」
皐月さんは僕のそんな提案に呆れてしまったようで、溜息を吐きながらそう言って来た。
「別にそう言う訳じゃないですけど、お祭りと言えば粉物じゃないですか?」
僕はそう言いながら、既に財布に手を伸ばしていた。
「まぁ、瑠衣が食べられるのであれば好きにしなさい。私はもっと軽いものにするわ」
そう言った皐月さんの視線も目の前に広がる沢山の出店に移っていた。
「それじゃあ行きますか皐月さん?」
そう言いながら僕は皐月さんに手を伸ばした。
「えぇ……そうしましょう瑠衣」
そんなありふれた会話をしながら、僕たちは手を繋ぎ人だかりへと足を進めた。




