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後輩(ぼく)と先輩(かのじょ)の恋物語  作者: 白城縁
十二月 クリスマス
78/126

似た者同士

――――――


「瑠衣……」

 僕がしばらくの間瞑想をしていると、直ぐそばから皐月さんの声が聞こえて来た。

「……来てくれたんですか……正直来てくれるかどうかは五分五分だと思ってたんですけど……」

 僕はゆっくりと目を開けると、皐月さんの方を振り返らずにそう言った。

「……瑠衣は私を馬鹿にしているの? 瑠衣が覚悟を決めて私の事を呼んでくれって言ってくれたのに私の方が断れる訳無いじゃない……」

 皐月さんはそう言いながら僕の事をそっと抱きしめてくれた。

「……ははは……そうでしたね……僕も同じ状況なら同じ事を言ったと思います。やっぱり僕たち似た者同士ですね?」

 そう言いながらも僕は安堵してしまったせいか、急に怖くなってしまった。

「瑠衣……大丈夫。瑠衣ならきっと大丈夫よ」

 僕が震えている事に気が付いたのだろう。皐月さんはそう言いながら先程よりも強く僕の事を抱きしめてくれた。

「……ふぅーーー」

 僕は身体の震えを抑える為、大きく息を吸い込むとそのままゆっくりと吐き出した。

「……さて、準備は良いかい? 水野君。皐月君」

 僕たちのやりとりを一通り見ていた能登先生はこのタイミングでそう声を掛けて来た。

「はい……」

「はい……」

 僕たちは同時に返事をすると頷き合った。

「それでは水野君。横になってくれるかな? あぁ、勿論手は繋いでて貰っても一向に構わないぞ?」

 真面目さの中にも普段の能登先生が垣間見えて、より一層安心感が増す事となった。

「頑張ってって言うのもおかしいかも知れないけど……頑張って」

 皐月さんは言葉を探していた様子だったが、ただ一言そう口にした。

「……その言葉だけでも十分ですよ……おかげでもう震えが止まりました。能登先生よろしくお願いします」

 僕はそう言うと、左手に皐月さんの温もりを感じながらゆっくりと目を瞑った。

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