新鮮な夏服姿
生徒総会も終わり季節も梅雨の時期へと移り変わっていった。教室から見える紫陽花の上にいる蛙がより一層季節の移り変わりを引き立てている。この時期には特に生徒会で行う行事もなく生徒会室に呼ばれる事は殆んどなかった。その事もあり、皐月先輩には殆んど逢う事はなかった。
「瑠衣ー何、黄昏てんだよ。暇ならどっか行こーぜ」
当たり前のように声をかけてくる。声を掛けてきたユウの姿は春先の制服とは変わって夏服になっているので少々新鮮さがある。
「いや、特に黄昏てるつもりなんてなかったんだけど、ただ最近先輩に会えなくて欝ってるだけ」
ユウは一つ息をついてから、やれやれといった仕草をしながら僕の方に視線を向けた。
「まぁ、構いはしねーけどな、気を付けろよ、本当にいい噂は聞かないからな」
僕はあんなに可愛い先輩なのにどうして気を付けろと言われるのか全く分からなかったけど、綺麗な薔薇には刺があるとか言うくらいだからそういう事なのかも知れないと僕は勝手に勘違いをしていた。
「あーもう我慢できない、先輩に逢ってくる。という事でまた今度誘ってねー」
僕は勢いよく立ち上がって出口へと走っていった。その間ユウは口を開けてその場から動けずいた。そんなユウを僕は無視して皐月先輩がいると思われる生徒会室へと足を進めた。
 




