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後輩(ぼく)と先輩(かのじょ)の恋物語  作者: 白城縁
十二月 クリスマス
68/126

無自覚な罪

――――――


「さてと、今日はこんなところかな? 瑠衣の方はもう終わりそう?」

 少し残って書類の整理をしていた僕に皐月さんはそう声をかけてきた。

「……もう少しだけ待っててもらっても良いですか? キリが良いところまで終わらせておきたいので……」

 僕はいつにもなく真面目な表情で皐月さんにそう返した。

「へぇー何だか真面目に仕事をしている瑠衣って初めて見た気がするわ……」

 皐月さんは僕が真面目に仕事をしているのを見て、かなり驚いた表情をしていた。

「あー確かに言われてみるとそうかも知れないですね……普段は程よく手を抜いて仕事をするんですけど、冬休みも近いし静かだったのでつい……」

 僕は皐月さんに言われて初めて自分が柄にもなく真面目に仕事をしている事に気がつき、すっと肩の力を抜いた。

「なるほどねーあれで普段は手を抜いていると……ふーん……」

 皐月さんは何か言いたげな表情をしながら僕の方を見ていた。

「なっ何ですか……僕悪い事でもしました?」

 皐月さんにそんな風に見られる事はあまり無かったので僕は慌てて身構えた。

「別に何も悪くないわ、寧ろ良いんじゃないかしら? 真面目に仕事をしている瑠衣格好良かったし」

 皐月さんは首を振りながらそう言うと、僕に微笑んできた。

「あっありがとうございます……何だか格好良い何て言われ慣れてないせいか凄く照れますね……」

 皐月さんに格好良いと言われ、僕はもの凄く照れてしまった。

「ふふっ、でもやっぱり瑠衣は何でも要領が良いわね。仕事の数も勿論だけど、量が普通の人の倍じゃ済まない暗いしてるわよ?」

 僕自身全くそんな事を意識した事が無かったので正直な話驚いてしまった。

「別にこのくらい普通じゃ無いですか? 今日みたいに真面目にやれば普段の倍は軽く出来ますよ?」

 僕的には何か頑張った訳でも、努力をした訳でも無かったのでさも当たり前のようにそう返した。

「……瑠衣」

「……はい?」

 皐月さんが急に真面目な表情をしたので無意識に背筋を伸ばした。

「はぁ……別に私の前とか生徒会のみんなの前なら構わないけど、普通の人の前でそんな事言っちゃダメよ? 完全に煽っているようにしか聞こえないから」

 皐月さんは大きな溜息を吐いてそう言ってきた。

「ふーん、そう言うものですか……でも大丈夫ですよ? 普段はそんなに真面目な事なんて多く無いんですから」

 僕は皐月さんの言っている意味がよく分からなかったので話半分で聞いていた。

「はぁーだからそう言うのがダメなんだって……」

 皐月さんはさっきよりも大きな溜息を吐くとがっくしと項垂れた。

 そんな様子を見てもやっぱり何の事か分からず首を傾げる事しか出来なかった。

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