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九重紬という人物

――――――


「やぁやぁ、待っていたよ? ささっ、座りたまえ」

 放課後、いつものように生徒会室へと入った僕は、二度とか関わりたく無いと思った人にものの数時間で再会を果たす事となった。

「……紬さん。どうしてこんな所に? それよりもまたキャラがブレて無いですか?」

 僕は頭を抱えながらいつもの定位置へと向かうと溜息を吐きながらそう言った。

「んー? どうしてって言っても、、ボクも歴とした生徒会の役員だからね」

 紬さんはコロコロとキャラクターを変えながらとんでもない事を口にした。

「……それは本当何ですか? 皐月さん……」

 僕はもう驚きを通り越して呆れながら、皐月さんにそう問い掛けた。

「……えっえぇ……私はてっきり既に辞めていたものだと思っていたのだけれど……」

 普通に声を掛けられた事に若干の戸惑いを覚えたのか、皐月さんは少し言葉に詰まりながらそう言ってきた。

「……なるほど、それなら仕方ないですね……それではこれからよろしくお願いしますね? 九重先輩(・・・・)

 僕は一つ大きな溜息を吐くとまるで挑発するかのように九重先輩に向かってそう言った。

「あらやだわーそんなにつんけんしちゃって……また(・・)食べちゃおうかしら?」

 今度はお姉様キャラのようで、僕の方に近付いてきながら僕の顎にそっと触れてきた。

「……ひっ」

 とてつもない恐怖感を抱いた僕は、慌てて九重先輩を突き飛ばした。

「何て事するんだよ……痛いじゃないか」

 九重先輩は少し困った表情をしていたが、特に気にした様子はなかった。

「……さてと、九重さんちょっと良いかしら?」

 僕たちの会話を大人しく聞いていた皐月さんだったが、そう言ってきたその声色に僕は聞き覚えがあって身震いをした。

「んーにゃんですか? ゴロゴロ……」

 今度はキャラと言って良いのか分からないが、まるで猫のような仕草をしながら皐月さんの方を振り返った。

「にゃ……あれ? これもしかしてヤバイ感じ?」

 九重先輩はさっきまでの表情とは打って変わって、少し苦笑いを浮かべながらそろりそろりと僕の背中へと隠れた。

「瑠衣……その人を渡しなさい」

「はっはい……」

 皐月さんの有無を言わせぬ威厳で僕は直ぐに後ろに隠れていた九重先輩を差し出した。

「ぎゃぁぁーまだ死にたくないよー」

 九重先輩は暴れて逃げようとしたが、意外と力は無いようで僕の手から逃げられない様子だった。

「さてと……それじゃぁ詳しく聞かせて貰おうかしら?」

 皐月さんの表情は満面の笑顔だったが、その瞳の奥に冷たい何かが垣間見えたのは僕の気のせいだったのだろうか……

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