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裏腹な気持ち

――――――


「んっ……あれっ? あぁ……そう言えば体調悪くって保健室で眠ってたんだった……」

 僕はゆっくりと身体を起こすと、大きな欠伸をした。

「……って何でもう真っ暗何だよ……普通は誰か声を掛けに来るでしょ? それに能登先生もいないようだし……それどころか誰も居る気がしないんだけど……」

 僕は身体に負担を掛けないようにゆっくりとベッドから降りると、辺りを見回しながらそう呟いた。

「……ん? 何だこれ?」

 辺りを見回すと机の上にメモと共に鍵が置かれている事に気が付いた。

「……えっと……何々……私はもう帰る戸締りは任せた……」

 鍵を見つけた時点でそう何だろうとは薄々勘付いてはいたが、やはり滅茶苦茶な人だった。

「……いくら自分が帰りたいからと言って普通、鍵を生徒に渡すかな? はぁ……でもまぁ、今日はその方が有難かったかも……下手に皐月さんにでも頼まれていたらどんな顔をして逢えばいいか分からないし……」

 僕は自嘲気味に笑みを零すと、無造作に置いてあった鍵を掴み取った。

「~~~♪~~~♪」

 タイミングが良いのか悪いのか、丁度鍵を掴んだタイミングで携帯が鳴った。

「……皐月さん……」

 この歌……『ボクカノ』を着信音を設定しているのは皐月さんだけだったので、僕は携帯を見る事無くそう呟いた。

「……」

 しばらくの間、携帯は音を鳴らしていたが三十秒もしたら音は鳴りやんだ。

「……これで良いんだ……これで少しは皐月さんも反省するだろう……僕だってそんなに優しく何てないんだから……」

 僕は自分自身に言い聞かせるようにそう呟くと、暗い気持ちのまま保健室を後にした。

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