北村からの呼び出し
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「さて水野、何でこんな時間にこんな所に呼び出せれたか分かるな?」
生徒会室でいつも通りお喋りしながら過ごしていると、校内放送で担任の北村から呼び出しをくらった。
「そんなの分かるわけないじゃないですかーせっかく生徒会室でお茶してたのに、呼び出しとか何考えてるんですかー」
さも当たり前のように、そう言ってきた北村に対して文句を言ってやった。
「お前な・……学校の先生にしかも担任相手に何て口聞いてるんだ? もう半年も経ったから馴れてしまっている俺らも俺らなんだがな……」
北村は僕の言葉をそれほど気にせず言葉を返してきた。
「で、何の用ですか? 北村先生用事があるなら手短にお願いしますね」
僕は北村の呆れた口調に対し、ワザとらしく普段は使わない敬語で言葉を返した。
「いや、逆にその口調の方が調子狂うと言うか何か気持ち悪いぞ……ごほん、そうでなくてだな、特訓をしようかなと思ってな」
北村は苦笑いをした後、一転してニヤニヤとした表情で僕にそう言った。
「北村先生気持ち悪いですよ? ニヤニヤしちゃって……ところで特訓って何ですか? 特訓って……」
まず第一に、ニヤニヤしている事が余りにも気持ち悪かったので『特訓』とは何か訊く前に口から言葉を発していた。
「水野……残念ながら俺も自分でやっていて気持ち悪いと思う……それは認めるがそこは言わないで欲しかったぞ……はぁ、まぁ良い。特訓についてだが今月何が行われるか分かるな?」
北村は溜息を吐いた後、普段の表情戻りながらそう言ってきた。
「えっ……何のことですか?」
僕は敢えて知らん顔をしてとぼけてみた。
「体育祭だ……分かってて聞くんじゃない。本当に性格の悪い奴だ……でだ水野。体育の授業に参加した回数は?」
北村は僕が自分が一番良く分かっている事を知っていながら訊いてきたのであんまり気にせずスルーしてそう言ってきた。
「ゼロですけど?」
そうなのだ体育の単位が何故取れているか不思議な程、全く体育の授業には参加していなかった。
「教科担当は俺なのに何故単位が取れているのが謎で仕方ないのだが……特訓というのは言うまでもない、お前が参加予定の騎馬戦の特訓だ」
北村は単位に関してはさして気にしてないと言うか、もはや諦めている様子だった。




