意外な事実
文化祭も終わり一息ついた頃には既に体育祭の準備に取り掛かり始めた。
毎月行事があるのは生徒達にとっては良い事かも知れないが、僕ら生徒会等の立場にいる人間にとっては面倒な事この上無かった。
とは言っても……前回の文化祭はユウが、今回の体育祭は体育祭の実行委員がメインの仕事はしてくれるので僕たちがやるのは事務的な作業がほとんどだ。
「ふぅ……なんか最近事務的な仕事ばっかりでつまんないなー次の行事って何でしたっけ?」
あまりにも暇を持て余していたので、唐突にそんな事を皐月さんに訊いた。
「次の行事はー紅葉狩りだね。これに関してもあんまりやることないわね……後行事は来年にならないとメインで仕事する事はないね」
唐突な質問にも戸惑う事無く、すんなりと僕の知りたかった答えが返ってきた。
「あれっ? 十二月は何もないんですか? この学校ならクリスマスパーティーくらいやるもんだと思ってました」
僕は不思議に思ったので唯一の上級生である皐月さんにそのまま訊き返した。
「あーそれは仕方ないのよ……十二月って何だかんだいって一番忙しい時期なのよ生徒総会だったり、テストだったりそれにクリスマスの日にはもう冬休みに入っているからね」
皐月さんは僕の質問からものの数秒で答えを返してくれた。
「へーなるほどだったら体育祭と文化祭両方やんなくても良いじゃん。いや……体育祭なんて消えてなくなればいいいのに……」
僕はついついそんな事を口にしてしまった。
「あら……どうしてそんなに体育祭やりたくないの? 体を動かすのって気持ちいいじゃない?」
僕の呟きが聞こえてしまったのか、皐月さんは不思議そうな表情をして、そんな事を言ってきた。
「会長仕方ないですよ。こいつ運動に関してだけは全然ダメなんですよ」
僕が溜息を吐いて答えるのを渋っていると、隣にいたユウが先に皐月さんに答えていた。
「へー意外……ルイって何でも出来るようなイメージだったのに、ダンスも普通に踊っていたからてっきり……」
向かいに座っていた楓ちゃんはユウの言葉に少し驚いた表情をしている。
「確かにそうよね……私も驚いたわ瑠衣にそんな弱点があったなんて……」
皐月さんも同じように驚いた表情をしている。
「でしょでしょ? 瑠衣ってホントムカつくくらい何でも出来るから、一つくらい出来ない事ないと不公平だし……」
皆の言葉に合わせるようにユウは更に言葉を続けた。
「もー怒ったもん、皆の弱点見つけ出してその時になったら仕返ししてやるー」
次々に皆から言われた言葉に耐え切れなくなった僕は思い切り叫んだ。
「あら……そんなに怒らなくても良いじゃない。何でも出来るっていうのも可愛くないよ瑠衣。それにそれくらいの方がモテるわよ?」
皐月さんは僕に笑いかけながらそう言った。
「何でも出来る皐月さんに言われたく無いですよーだ。でも皐月さんがそう言うなら構わないですけど……」
僕は頰を膨らませながら皐月さんにそう言った。
「ったく瑠衣の奴は……ホント会長には弱いんだから……」
「でもそんな二人が羨ましいんだよね? ユウちゃん」
「それはお前もだろフウ……」
そんな会話が耳に届いたけど、僕は皐月さんにしがみ付きながら右から左へと聞き流した。




