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『詩』の完成

――――――


「うーーーーん。やっと出来たーこれでゆっくり休める。お休みなさい」

 僕は大きく伸びをしてから立ち上がって、その後すぐに机に伏せて寝る体勢をとった。これが授業の終わりや休み時間だったら良かったのだが、案の定今は授業の真っ最中だった。

「おい水野。何が出来たんだ? 授業中に一体何をしていたんだ。私の話も聞かないで」

 担任の北村は僕のすぐそばまで来てそう言ってきた。

「あっ……先生詞がやっと出来たんですよ。見ます? 中々の出来だと思うんですけど?」

 僕はゆっくり起き上がりながら北村先生に言葉を返した。

「詞? 何だ水野、バンドでもやってんのか? とでも言うと思ったか、廊下に立っていろ!」

 北村先生は僕に怒鳴りつけながら廊下に引っ張っていった。

「ちぇーいいじゃん。あんまり時間ないんだしさ、堅いこと言わなくても……」

 僕は教室に戻っていく北村先生にわざと聞こえるように言った。

「何か言ったか? 水野」

 北村先生は僕を睨みつけながら言ってきた。

「何も言ってませーん」

 僕はすぐに言葉を返して北村先生が教室に入ったのを確認してから保健室へと向かった。


――――――


 その日の放課後に荒木に会い作詞の原稿は渡して置いた。どんな曲になるか楽しみにしながら、僕は生徒会室へ行き生徒会の仕事を前倒しで終わらせていた。

「あら瑠衣。どうしたの? まだ期限は先よ。 そんなに急いで用事でもあるの?」

 僕が急いで仕事をしている事に気が付いたようで皐月さんは僕に理由を訊いてきた。

「あっえーまぁ、ちょっとクラスの出し物の準備が忙しくて手伝わなきゃなんですよ。それなんでちょくちょく休みますね? 生徒会」

 理由を聞かれて少し慌てながらクラスの出し物の準備と嘘をついて誤魔化した。ちょっと不自然すぎて誤魔化せてなかった気もするけど……

「そう……わかったわ。でも無理だけはしないでね? 瑠衣が忙しいようなら私に仕事回してくれても良いんだからね?」

 皐月さんは僕が隠し事をしている事に気付いているのか、少し微笑みながら言ってくれた。

「大丈夫です。それはそれこれはこれですから。それに僕が出来ない訳ないじゃないですか……だからもう少し待ってて下さい」

 僕がそう言うと皐月さんは何も言わずに頷いてくれた。それだけで僕は幸せな気持ちでいっぱいになった。より一層ライブで皐月さんを驚かせたいって思った。

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