バランスの取り方
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「うーんどーやって書けばバランス取れるかなー流石に書きたい事並べちゃったら荒木に悪いしなー」
数日が経ち僕はまた生徒会室の机の前で唸っていた。
「あら、どうしたの瑠衣? 分からない問題でもあるの?」
いつの間にか隣に来ていた皐月さんに急に話掛けられた。
「うわぁー吃驚させないで下さいよ。急に出てくるとか皐月さん悪趣味です」
集中している所に急に声を掛けられたので、僕はいつも以上に驚いてしまった。
「結構前から居たんだけどな……瑠衣ずっとぶつぶつ言いながらノートと睨めっこしてるんだもん。つまんなくて……」
皐月さんは少しふてくされたように僕に言ってきた。
「あっそーだ皐月さん今ちょっと物語みたいなこと書いてたんですけど、うまくバランスが取れなくて困ってるんです。どーしたらいいですかね?」
僕は作詞件と言う事は濁しながら皐月さんにアドバイスを求めた。
「うーんそうね。起承転結、序破急のバランスが悪いんじゃないかしら。よく言うじゃがない」
皐月さんはまるで先生が答えそうな言い方で僕に言ってきた。
「『起承転結』『序破急』……あっそうか『過去』『現在』『未来』で書けばいいのか。それならバランスも取れるし書きやすいや……ありがとう皐月さん」
僕はそう言いながらまた自分の世界へと入って行った。もちろん皐月さんには見えにくい位置で作詞を続けた。
「あらあら、私の事ほっといていつまでやるのかしら……」
僕が集中して作詞している間、皐月さんはずっと僕の事を見ていたらしい。その事を知ったのは今からだいぶ時間経ってからの事だった。




