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初めての作詞

――――――


 僕はこれから授業だというのも忘れ、誰もいない生徒会室へと入った。

「よーし書くぞーとは言っても作詞なんてした事ないからなーどーしたらいんだろう。うーん。あっそーだ、ユウに連絡してみよう。こんな時くらい役に立ってもらわないと」

 僕はそう言いながらユウにメールを打った。もちろん授業中だというのは言うまでもない。それからしばらくして勢いよく扉が開く音が聞こえた。

「おい瑠衣。授業中に呼び出す奴がどこいるんだよ? ってか何サボってんだよ」

 ユウは少し息を切らしながら早口で言ってきた。

「あ、ごめん授業中だったっけ忘れてた、ちょっとそれより聞いてよ。作詞ってどうしたらいいかな? 教えてよ」

 僕はユウの言葉をさらりと流して一方的に要件を伝えた。

「はぁ……ったく付き合わされるこっちの身にもなって欲しいぜ、で作詞だっけ。そんな事俺だってしたことねーよ。まぁ詞書くだけならそんな難しいい事じゃねーだろーよ。それはそーと何で作詞なんだ? ライブでもやんのか?」

 今度はユウが一方的に訊き返してきた。

「うん、そーだよ何かボーカルやってくれって……で、ボーカルやるなら作詞させてって言ったの。どーせなら皐月さんの為に詞を書きたいじゃん? あぁ……そっか書きたいことを書けばいいのか……皐月さんに手紙を書くような感じで……あっもういいよ、ありがとー」

 僕はひとりで勝手に納得して僕は机に置いておいたノートと向かい合った。

「おいおい、そりゃないだろ……人の事呼んどいて、しかも授業中だったのによ……はぁ」

 そう言ったユウの声は殆んど僕には聞こえてなかった。ユウはそれに気が付いたのか机にそのまま伏せてしまった。

「……初めて逢ったのは桜の木だったから……生徒会に入って……」

 僕はぶつぶつ言いながら黙々と作詞を続けた。

「ふぅ今日はここまでにしようかな。そろそろ六時間目も終わった頃だろうしいい加減戻らないと……」

 一段落した僕は隣で寝ていたユウを起こして教室に戻る事にした。

 この後二人が担任の北村先生にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

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