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似合わない気障な台詞

――――――


 あれから数日が経ち、花火大会の当日になった。

「本当にこんな良い所を見つけてくるなんてね。しかも予算が余ったおかげで来月の文化祭の規模を大きく出来るわ」

 皐月さんは本当に驚いているようで辺りを見渡しながら言った。

「だから言ったじゃないか皐月君。彼らに任せるのは正解だと、流石に私の想像以上だったがな。一体どこまで凄い奴らなんだろうな彼らは……」

 いつの間にか近くに来ていた能登先生が、また意味深な言葉を残してまた別の場所へ行ってしまった。

「それにしても私たちやる事ないね、瑠衣。あの二人は忙しそうなんだけど……」

 僕らの仕事は既に終わっていて現場は二人に任せてあるので全くといい程やることがなかった。

「良いんじゃないですか? 皐月さん。たまにはゆっくり休んでも、それに二人で居れるので僕はその方が良いです」

 僕は皐月さんに抱きつきながらそう言った。

「まぁ良いけど。私も瑠衣と一緒にいたいし、さぁ行きましょ。私たちの特等席へ」

 生徒会の特権と言えばいいのかユウ達のおかげなのか、花火が一番見える所を取っておいてくれたらしい。

 その場所に着くと丁度始まるようだった。ユウがマイクを持って説明をしている。

「大変お待たせ致しました。お集まりの皆様。本日進行役を務めさせて頂きます。剣持勇と言います。よろしくお願いします」

 ユウがそう言うと場の空気が一気に盛り上がった。こういう事をやらせるならやっぱりユウが適任だと改めて思った。

「それでは花火大会を始めましょう。さぁ最後まで楽しんでいって下さい」

 ユウがそう言うと同時に一発目の花火が打ち上がった。まるで本物の花火大会みたいに大きな花火が次々と打ち上がっていく、これが学校の行事だなんて誰も気が付かないだろう。

「キレイですね。皐月さん……」

 そう言いながら皐月さんの方を見ると、花火の灯りに照らされた皐月さんの横顔が見えた。

「うんうん……皐月さんの方が……キレイですよ……」

 僕はそんなありきたりな言葉しか出てこなかった。皐月さんは花火に集中しているようで僕の声が聞こえなかったようで無反応だったけど、それで良かったと思った。聞かれていたら恥ずかしくて仕方が無かったと思う。

 僕は皐月さんの横顔を見ながら改めてこの女の子をいつまでも一緒に、いつまでも守っていたいと、そう心に誓った……

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