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記憶喪失

「僕の事……能登先生なら理解してますよね? この後、僕が何を言うのか……でも僕はあえて言わせてもらいます。僕は皐月さんの為なら何だって出来る、そう皐月の為なら何だって……」

 僕がそう言うと能登先生は表情を崩して微笑んだ。

「キミならそう言うと思っていた。皐月君の主治医として言わせてもらうよ。彼女を過去の呪縛(トラウマ)から解放してくれ……頼む」

 能登先生は本当に皐月さんの事を大事に思っているのだろう。頭を下げて僕に皐月さんの事を頼んできた。

「頼むも何も僕は最初からそのつもりでいましたよ。例え貴方が反対しようとも僕は……」

 僕が生まれて初めて恋をした皐月を、誰にも渡すつもりも不幸にするつもりも全くなかったのではっきりとした口調で能登先生に告げた。その時の僕の表情に驚いたのか能登先生は青ざめた表情をしていた。

「キミという奴は……一体何があれば高校一年生でそんな表情が出来るんだ? 全く興味深い奴だ」

 そう言いながら驚いた表情から徐々に興味津々といった表情に変わっていった。

「僕は普通の高校生ですよ。過去を少しだけ忘れているだけで、その時何があったって僕は僕です」

 過去の記憶がないということを人に話したのは初めてだったが、能登先生なら構わないと思ったので打ち明けた。

「そうか……そういう事か。悪いな話しにくい事を話させてしまって」

 能登先生は申し訳なさそうに言葉を返してきた。

「構いませんよ……いずれ皐月さんにも話すつもりでしたし、忘れていた過去も断片的ではありますが思い出しています」

 楓ちゃんと再会した事がキッカケで少しずつではあるが、過去を思い出しつつあった。

「焦らずゆっくり思い出せばいい。良い思い出だけでは決してないだろう。思い出したくないこともあるかも知れない、何かあったら私を頼れ……これでもその手の分野の専門だからな」

 能登先生は僕の話を聞き終わった後少し驚いた表情をしたがすぐに真面目な表情に戻りそう言ってくれた。

「その時は頼らせてもらいますよ、能登先生」

 僕は純粋にその言葉が嬉しくて少し素っ気無かったかも知れないけど、能登先生に言葉を返した。

 その後この日は帰った方が良いと言われたので大人しく今日は帰ることにした。

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