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僕の本心

――――――


 僕が生徒会室へ戻ってから小一時間経ちようやく皐月さんの分の仕事が終わった。

「そういえばさっきの能登先生の言葉、よく考えてみると不自然だったないつもの『アレ』って何だったんだろう……」

 今更ではあるがあの言葉が気になってしまった。だがそれよりも皐月さんが心配の方が勝っていた。

「皐月さん大丈夫かなぁ……」

 僕がそう呟くと同時、生徒会室のドアが開く音が聞こえた。

「まだいたのか、水野……いや瑠衣君少し時間いいかな?」

 入ってきたのは能登先生だったが本当に本人かどうか疑う程、真面目な顔をしていた。

「どうしたんですか? 能登先生らしくないですね。僕を名前で呼ぶなんて初めてじゃないですか?」

 僕はこの空気を少しでも変えようと少しおどけ気味に言葉を返した。

「仕方がないだろう、今は医者としてキミの前に立っている、真面目にもなるさ」

 能登先生は僕の挑発に乗らず、あくまで冷静な口調で言ってきた。

「わかりました、僕も真面目に聞かない訳にはいかないですね? 皐月さんの事、ですよね。そして僕も関係してると……」

 僕も普段見せることのない真面目な顔をして言葉を返した。

「ほぉ……キミもなかなか言うじゃないか。やっぱり私の思っていた通りの奴だったようだな……よし考えが変わった。瑠衣君に全て任せてみる事にしよう」

 能登先生はいつものような表情に戻ってそんな事を言ってきた。

「僕に任せるって何を任せるんですか?」

 僕は何の事かさっぱり分からなかったので素直に聞き返した。

「そのままの意味だよ……これから話すことは他言無用で頼むよ。キミだから話すんだ……分かったね?」

 今度は悟すような口調で言ってきた。そんな風に言われたら僕は頷く事しか出来なかった。

「皐月君が生徒会長になってすぐにある事件があったのは知ってるね? 今ではというか普通の高校生に見えてるだろうが……人と関わること、人を信じる事がトラウマになってしまった彼女はリハビリをしてきたんだ。彼女は人と深く関われば関わる程、体調を崩すようになってしまった。キミになら言わなくても分かるだろうけど私はキミを利用することを思いついた。初対面であんな事をするような奴はキミ以外いないだろうからな。キミを利用してリハビリしていたのは正解だった……と思う。でも彼女との関係が深くなりすぎた。始めは友達くらいになってくれればいいと思っていたが、予想に反して君たちは恋人にまでなってしまった。私にもどうしたら良いか分からなかった。このままにしていたら彼女はまた壊れてしまうかも知れない。もしかしたらそうじゃないかも知れない。私には判断することができなかった。でもキミの言葉を聞いて決めたよ。キミに全て任せてみようってね。さぁキミの言葉を聞かせてもらえるかな?」

 僕に何を期待していて、何を求めているかなんて知った事はないけど。あの日から僕の心はとっくに決まっていた。

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