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緊急事態!?

――――――


 次の日の放課後僕は、ホームルームが終わってすぐに生徒会室へと駆け出していた。昨日逢ったのにも関わらず、早く逢いたくて仕方が無かった。日に日に先輩への想いが強くなっているのが自分でも分かった。昨日と同じようにノックもせずに生徒会室に入ると能登先生しかいなかった。

「能登先生―皐月先輩はまだ来てないんですかぁ?」

 僕はいつもならいる時間だったのに居なかった事に対して、少し疑問を抱きながら生徒会室にいた能登先生に訊いてみた。

「うん? そうか聞いてないのか。皐月君なら今日は休みだぞ」

 能登先生は、僕の全く予想にしていない言葉を口にした。先輩が休みだという事にかなり驚いた。あの皐月先輩が学校を休むなんてかなり衝撃的な話だった。

「どうしたんですか? 風邪ですか。大丈夫何ですか?」

 もしかしたら皐月先輩が風邪で寝込んでいるかも知れないと思い、能登先生の首元を捕まえてぶんぶん振り回した。とは言っても僕よりも能登先生の方が背は高いので振り回されてるというのが正確かもしれないが……

「ちょっと落ち着け。瑠衣君、それじゃキミが振り回されてるぞ」

 そっちの事かよと思いながらも、皐月先輩が心配なので僕はそれどころではなかった。

「風邪なんですか? 風邪なら家の場所教えてくださいよぉ」

 振り回されながらも、さっきよりも甘えた声を出しながら能登先生に無理難題を押し付けた。

「瑠衣君。それは出来ない相談だ。確かに皐月君は風邪で学校を休んでいる。そうなんだが、個人情報と言うものがあってだな、教える訳にはいかないのだよ」

 能登先生は珍しく先生らしい事を言ったのでかなり驚いたが、確かに仕方のない事かも知れない。それでも皐月先輩が心配だし、日曜日のデートの事も出来るだけ早く話がしたかった。

「先生……お願いします。皐月先輩が心配なんです。お願いします」

 僕は、能登先生から離れてゆっくりと頭を下げた。そこまでしてでも皐月先輩の側に居たかった。苦しんでいるかも知れない皐月先輩の側に……

「……分かった。先生としては止めるしかないのだが、私個人としては、キミを応援したい。今から言うのは、独り言だ。そしてここに置いてあるメモも忘れていっただけで誰が拾おうと何も言わない」

 能登先生はそう言うと、住所を書いたメモをそっと机の上において、生徒会室から出ていった。『頑張れよ』そんな優しい一言を残しながら……

 能登先生が出て行くまで僕は、ずっと頭を下げたままだった。僕の無理を通してくれた能登先生に精一杯の感謝を込めながら……

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